ベアメタルステント留置10年を経てステント血栓症を生じた2例

背景: 薬剤溶出性ステント(drug eluting stent; DES)では留置1年以上を経過した後でも超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis; VLST)を生じ得ることが知られている. しかし, ベアメタルステント(bare metal stent; BMS)留置後の超遅発性ステント血栓症は非常に稀な病態であり報告も少ない. BMS留置10年を経過した後にステント内での血栓性閉塞を生じた2症例を報告する. 症例1: 63歳, 男性. 10年前, ST上昇型急性下壁心筋梗塞のため右冠動脈にBMSを留置した. 翌年の冠動脈造影検査では再狭窄を認めず, 以...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 43; no. 10; pp. 1373 - 1378
Main Authors 余川, 順一郎, 山口, 正人, 藤野, 晋, 野路, 善博, 鈴木, 将智, 青山, 隆彦, 馬渕, 智仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.1373

Cover

More Information
Summary:背景: 薬剤溶出性ステント(drug eluting stent; DES)では留置1年以上を経過した後でも超遅発性ステント血栓症(very late stent thrombosis; VLST)を生じ得ることが知られている. しかし, ベアメタルステント(bare metal stent; BMS)留置後の超遅発性ステント血栓症は非常に稀な病態であり報告も少ない. BMS留置10年を経過した後にステント内での血栓性閉塞を生じた2症例を報告する. 症例1: 63歳, 男性. 10年前, ST上昇型急性下壁心筋梗塞のため右冠動脈にBMSを留置した. 翌年の冠動脈造影検査では再狭窄を認めず, 以後, 近医に通院. 今回, 突然の前胸部痛を生じて救急搬送され, ST上昇型急性下壁心筋梗塞と診断した. 緊急冠動脈造影検査では以前留置した右冠動脈のステント内で血栓性完全閉塞を認め, 血栓吸引とバルーン形成術を施行した. 症例2: 61歳, 男性. 11年前, 不安定狭心症のため左前下行枝にBMSを留置した. 翌年の冠動脈造影検査では再狭窄を認めず, 以後, 近医に通院. 今回, 突然の前胸部痛を生じて救急搬送され, ST低下型急性心筋梗塞の診断で緊急冠動脈造影検査を施行した. 左前下行枝のステント内で完全閉塞を認め, 血栓吸引を行った後に薬剤溶出性ステントを留置した. 結論: BMSにおけるVLSTの発症機序はステント内に新たに生じた動脈硬化性病変のプラーク破綻が原因であると推測され, 生涯にわたるアスピリン内服と動脈硬化の進展抑制が重要であると考えられた.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1373