椅子からの起立運動を応用した運動負荷法の生理的運動強度と身体要因の関係
【目的】椅子からの起立運動を反復する起立運動負荷方法は簡便であり,様々な場面に利用されている。本法の生理的運動強度は環境設定の側面から椅子高が低い程,起立回数が多い程,増大すると報告がある。一方,対象者の身体要因の側面が生理的運動強度に与える影響の十分な検討はなく,身体要因の側面からも運動強度の調整が行えるよう検討をした。【方法】対象は心血管系および整形外科的疾患,神経筋疾患を有さない健常な成年群31名(平均年齢20.1歳)と高齢者群17名(平均年齢66.1歳)を候補とし,内容を十分に説明した上で紙面にて同意が得られた者を対象者とした。なお,本研究は所属施設の倫理委員会に承諾を得た。本法の環境...
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| Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 88 |
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| Main Author | |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2009
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0916-9946 2187-123X |
| DOI | 10.14901/ptkanbloc.28.0.88.0 |
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| Summary: | 【目的】椅子からの起立運動を反復する起立運動負荷方法は簡便であり,様々な場面に利用されている。本法の生理的運動強度は環境設定の側面から椅子高が低い程,起立回数が多い程,増大すると報告がある。一方,対象者の身体要因の側面が生理的運動強度に与える影響の十分な検討はなく,身体要因の側面からも運動強度の調整が行えるよう検討をした。【方法】対象は心血管系および整形外科的疾患,神経筋疾患を有さない健常な成年群31名(平均年齢20.1歳)と高齢者群17名(平均年齢66.1歳)を候補とし,内容を十分に説明した上で紙面にて同意が得られた者を対象者とした。なお,本研究は所属施設の倫理委員会に承諾を得た。本法の環境設定は,椅子高は床から腓骨頭までの距離とした。プロトコルは3分間の安静後,起立回数6,12,18,24,30(回/分)を各々3分間,メトロノームに合わせて負荷をした。運動の終了は,一般的な運動負荷中止基準および予測最大心拍数の85%に到達した時,本人からの申し出があった場合などとした。測定項目として,身体要因は身長,体重,座高,下肢筋力を測定し,生理的運動強度は連続的に呼気ガス諸量(MetaLyzer3B)と心拍数を測定した。血圧は各負荷段階終了時に測定をした。不整脈の監視は,胸部誘導により心電図を記録,監視した。分析は,移動距離は[身長-(椅子高+座高)](m),生理的運動強度は各負荷段階終了30秒間の酸素摂取量(ml/kg/min)を算出した。その後,両群の各起立回数における酸素摂取量と身体要因間の関係を,ピアソンの相関係数により分析をした(有意水準は5%)。【結果】成年群と高齢者群の起立回数6~30(高齢者は24)(回/分)の酸素摂取量の平均は,10.3±0.2~26.7±0.4(ml/kg/min),8.7±0.2~17.3±0.8(ml/kg/min)であった。各起立頻度における酸素摂取量と身体要因間の相関を認めた項目は,成年群では頭頂部の移動距離と身長が起立頻度12(回/分)以後に,座高が18(回/分)以後に中程度から強度の関係を認めた。高齢者群では座高が全ての起立回数にて,また移動距離は起立回数18(回/分)以後において中程度から強度の関係を認めた。【考察】生理的運動強度と頭頂部の移動距離が両群ともに影響を示した。仕事量は[質量×移動距離]で表され,個々の体重は常に一定であることから,移動距離が仕事量の増大に影響を与えると考えられる。【まとめ】身長および座高は移動距離を構成する要素であり,運動強度の設定においては加味する必要があると考えられる。 |
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| Bibliography: | 88 |
| ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
| DOI: | 10.14901/ptkanbloc.28.0.88.0 |