ファーマシューティカルケアの実践 患者への直接的なケアから医療への貢献へ

「はじめに」医療法の改正により,「医療の担い手」に薬剤師が位置づけされた.日本の病院薬剤師の業務内容は従来の調剤中心の業務から,近年は調剤を基本とした上での与薬業務や服薬指導業務といった入院患者への直接的な薬学管理に関わるように変化してきた1).さらに現在では,医薬品に関わる広範囲な業務のニーズがあるように考えられる.1990年,薬剤師のあるべき姿勢を示した概念としてファーマシューティカルケアが提唱された2,3).そして,1993年,東京で開催された国際薬学連合(FIP)大会の第2回薬剤師の役割に関する世界保健機構(WHO)会合にてファーマシューティカルケアとは,薬剤師の活動の中心に患者の利益...

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Published in医療薬学 Vol. 32; no. 6; pp. 473 - 481
Main Author 伊藤, 由紀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.06.2006
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.32.473

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Summary:「はじめに」医療法の改正により,「医療の担い手」に薬剤師が位置づけされた.日本の病院薬剤師の業務内容は従来の調剤中心の業務から,近年は調剤を基本とした上での与薬業務や服薬指導業務といった入院患者への直接的な薬学管理に関わるように変化してきた1).さらに現在では,医薬品に関わる広範囲な業務のニーズがあるように考えられる.1990年,薬剤師のあるべき姿勢を示した概念としてファーマシューティカルケアが提唱された2,3).そして,1993年,東京で開催された国際薬学連合(FIP)大会の第2回薬剤師の役割に関する世界保健機構(WHO)会合にてファーマシューティカルケアとは,薬剤師の活動の中心に患者の利益を据える行動哲学であると宣言された.ファーマシューティカルケアは,患者の保健およびQuality of Lifeの向上のため,はっきりした治療効果を達成するとの目標をもって薬物療法を施す際の,薬剤師の姿勢,行動,関与,倫理,機能,知識,責務,ならびに技術に焦点を当てるものであると定義された4).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.32.473