臨床実習への新たな取り組み

【はじめに】 近年の少子化により大学全入時代を迎え学生は多様化している。養成校は学生指導の中でより一層学生個人に配慮した肌理の細かさが要求されるようになった。そのような背景の中で当校は教育改革の一環として、平成20年度の臨床実習より実習要項を大幅に変更した。その目的は、より円滑で教育効果が高い実習内容とするために経験や体験を重視した実習とすること、指導者と学生とのコミュニケーションを促すこと、学生の評価を成果物ではなく臨床実習の取り組み方を重視することなど多岐に渡る。また具体的な変更内容としては登校日の導入、実習課題からケースレポートを削除、成績評価の方法・書式の変更、実習日誌の書式の変更、施...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 44
Main Authors 榊原, 清, 園田, 晃大, 高橋, 智子, 高井, 淳子, 中條, 浩樹, 竹渕, 謙悟, 小川, 奈保, 臼田, 修久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.44.0

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Summary:【はじめに】 近年の少子化により大学全入時代を迎え学生は多様化している。養成校は学生指導の中でより一層学生個人に配慮した肌理の細かさが要求されるようになった。そのような背景の中で当校は教育改革の一環として、平成20年度の臨床実習より実習要項を大幅に変更した。その目的は、より円滑で教育効果が高い実習内容とするために経験や体験を重視した実習とすること、指導者と学生とのコミュニケーションを促すこと、学生の評価を成果物ではなく臨床実習の取り組み方を重視することなど多岐に渡る。また具体的な変更内容としては登校日の導入、実習課題からケースレポートを削除、成績評価の方法・書式の変更、実習日誌の書式の変更、施設間連絡表の変更などがある。変更に関わる事項について対象学生に対しては実習前指導の中で、指導者については臨床実習指導者会議の中で資料等を用い説明をした。 今回4年次の総合実習および3年次の評価実習の終了後にアンケートを実施し、臨床実習形態の変更に伴う現状を調査したところいくつかの知見を得たので報告する。 【方法】 当校在学中の4年生および3年生の計79名を対象とした。内容は臨床実習に関連する26項目について選択式の質問紙(一部記述)を用い匿名にて行った。 【結果】 登校日に関してほぼ100%の学生が導入について肯定的であった。学生と指導者のコミュニケーションに関する項目では、実技中心の実習ほど十分なコミュニケーションが取れている傾向が見られた。また、ケースレポートが中心の実習ほど実技に掛ける時間の割合が少なく実技練習や準備に掛ける時間が少ない傾向が見られた。 【考察】 登校日の目的は学生のモチベーションの維持と実習の進捗状況の確認である。登校日の最も良かった点は実習地訪問に出る前にある程度実習の進捗状況が確認できたことであった。また成果物主義の臨床実習はレポート作成にその大半の労力と時間が費やされ、目前の患者の評価・治療が後手に回るという本来の臨床実習の意義から外れる危険性がある。今回の調査では実技を通した臨床実習がより良い実習に繋がる可能性が認められた。そして、臨床実習がより充実するためには指導者と学生がどれだけコミュニケーションを取れたかがとても重要になる。今回の調査でも実技を充実させるためには指導者と学生のやり取りが必要であることが認められた。時代に合った教育効果のある臨床実習となるよう今後も検討を続けて行きたいと考える。
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.44.0