パルボウイルスB19(PVB19)が心筋ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)法で検出された劇症型心筋炎の1例
劇症型心筋炎の心筋検体を用いたポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCR)法で, パルボウイルスB19(PVB19)を検出した症例を経験した. 症例は, 46歳, 男性. 今回の入院より4年前に, C型肝炎を指摘され, インターフェロン治療でウイルスは消失したが, 半年前から再燃を指摘されていた. 入院7日前から胸部圧迫感と発熱を自覚し, 軽快しないため当院救急外来を受診, 急性心筋炎の診断で緊急入院となった. その後, 血行動態は悪化し, 人工呼吸器, 大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping; IABP),...
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Published in | 心臓 Vol. 43; no. 10; pp. 1359 - 1364 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2011
日本心臓財団 |
Subjects | |
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ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
DOI | 10.11281/shinzo.43.1359 |
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Summary: | 劇症型心筋炎の心筋検体を用いたポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction; PCR)法で, パルボウイルスB19(PVB19)を検出した症例を経験した. 症例は, 46歳, 男性. 今回の入院より4年前に, C型肝炎を指摘され, インターフェロン治療でウイルスは消失したが, 半年前から再燃を指摘されていた. 入院7日前から胸部圧迫感と発熱を自覚し, 軽快しないため当院救急外来を受診, 急性心筋炎の診断で緊急入院となった. その後, 血行動態は悪化し, 人工呼吸器, 大動脈バルーンパンピング(intra aortic balloon pumping; IABP), 経皮的心肺補助循環(percutaneous cardiopulmonary support; PCPS), 持続的血液濾過透析療法(continuous hemodiafiltration; CHDF), 一時的ペースメーカーでの集中治療を要した. しかし, 播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation syndrome; DIC)および急性呼吸促迫症候群(acute respiratory distress syndrome; ARDS) を併発し, 入院後第10病日目に死亡した. 心筋組織はリンパ球の浸潤が著しく, 同心組織のPCR法でPVB19が検出された. PVB19は, 近年のウイルス性心筋炎の原因としてドイツを主とする欧米から多く報告されているが, 本邦での報告は稀少であるため報告する. |
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ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
DOI: | 10.11281/shinzo.43.1359 |