在宅高齢者の日常的外出行動を規定する要因に関する研究 : 千葉県M市におけるケース・スタディ

在宅高齢者を自宅に閉じこもらせないことは,高齢者の生活の質を低下させないための重要な課題である。本稿は,自宅に閉じこもる状態を外出行動が発生してない状態,更には外出行動を規定する要因が外出行動を縮小させる方向へ導いている状態としてとらえ,外出行動の規定要因を適正に整えることで閉じこもりを回避することができるという仮説のもとに,外出行動を規定している要因を具体的に明らかにすることを研究の目的とした。調査の方法として,千葉県M市M二丁目地区,M三丁目地区の65歳以上の居住者全員(250名)を調査対象候補者とし,悉皆訪問による聞き取り調査を行い,81名から有効回答を得た。分析の結果,高齢者の外出行動...

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Published in社会福祉学 Vol. 41; no. 1; pp. 1 - 12
Main Authors 齎藤, 雪彦, 椎野, 亜紀夫, 中村, 勇, 木下, 攻
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本社会福祉学会 10.07.2000
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ISSN0911-0232
2424-2608
DOI10.24469/jssw.41.1_1

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Summary:在宅高齢者を自宅に閉じこもらせないことは,高齢者の生活の質を低下させないための重要な課題である。本稿は,自宅に閉じこもる状態を外出行動が発生してない状態,更には外出行動を規定する要因が外出行動を縮小させる方向へ導いている状態としてとらえ,外出行動の規定要因を適正に整えることで閉じこもりを回避することができるという仮説のもとに,外出行動を規定している要因を具体的に明らかにすることを研究の目的とした。調査の方法として,千葉県M市M二丁目地区,M三丁目地区の65歳以上の居住者全員(250名)を調査対象候補者とし,悉皆訪問による聞き取り調査を行い,81名から有効回答を得た。分析の結果,高齢者の外出行動を規定する要因として50項目が明らかとなった。更に規定要因の中には,外出行動を発生・拡大させる要因(プラスの要因)と,外出行動を縮小・消滅させる要因(マイナスの要因)とがあり,一個人の外出行動のあり方は複数の規定要因の組み合わせによって成立していることが明らかとなった。ここから,在宅高齢者の自宅への閉じこもりを回避させるためには,本稿で提示したようなプラスの要因を増大させ,逆にマイナスの要因を取り除くことが,一つの有効な手段となり得るという結論に達した。
ISSN:0911-0232
2424-2608
DOI:10.24469/jssw.41.1_1