Drug eluting stentとbare metal stentの慢性期炎症反応抑制効果の比較

目的: 経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)前と慢性期の血清炎症およびその関連マーカーについて薬剤溶出ステント(drug-eluting stent; DES)使用群とベアメタルステント(bare metal stent; BMS)使用群で比較検討し, さらにDES使用群については, パクリタキセル溶出性ステント(paclitaxel-eluting stent; PES)使用群とシロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent; SES)使用群で比較検討した. 方法: 対象はPCIに成功したS...

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Published in心臓 Vol. 43; no. 10; pp. 1319 - 1327
Main Authors 矢部, 彰久, 堀中, 繁夫, 石村, 公彦, 石光, 俊彦, 八木, 博, 矢野, 秀樹, 家村, 知海
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2011
日本心臓財団
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.43.1319

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Summary:目的: 経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention; PCI)前と慢性期の血清炎症およびその関連マーカーについて薬剤溶出ステント(drug-eluting stent; DES)使用群とベアメタルステント(bare metal stent; BMS)使用群で比較検討し, さらにDES使用群については, パクリタキセル溶出性ステント(paclitaxel-eluting stent; PES)使用群とシロリムス溶出性ステント(sirolimus-eluting stent; SES)使用群で比較検討した. 方法: 対象はPCIに成功したSES; 44病変, PES; 39病変, BMS; 36病変. 患者背景, PCI時のデータならびに心事故発生率を3群間で比較し, 血液生化学検査は, hs-CRP(high-sensitivity C-reactive protein), IL-6(interleukin-6), ネオプテリン, ICAM-1(inter-cellular adhesion molecule 1), VCAM-1(vascular cell adhesion molecule 1)をPCI前とPCI 6カ月前後に測定し比較検討した. 結果: 患者背景は, 糖尿病罹患率がPES群で有意に高く, 病変背景は平均ステント長がSES群で有意に長かった. 定量的冠動脈造影解析(quantitative coronary arteriography; QCA)では, PCI前の最小血管内腔径がPES群で有意に小さかったことを除き, 3群間で病変長, 対照血管径, ステント本数, ステント長, PCI成功率に差はなかった. hs-CRPとIL-6の値はBMS群ではPCI前と慢性期で変化しなかったが, DES群ではPCI前に比べ, 慢性期に有意に減少した(log hs-CRP; BMS群PCI前3.05±0.57, 後2.98±0.58, p=ns, DES群PCI前3.12±0.61, 後2.81±0.50, p<0.010; IL-6, BMS群PCI前3.45±3.66, 後4.66±5.12, p=ns, DES群6.70±4.46, 後2.31±1.54, p=0.020). しかし, SES群とPES群間に差はなかった. また, ネオプテリン, ICAM-1, VCAM-1はBMS群, DES群いずれもPCI前後で変化しなかった. 結論: 血清hs-CRPとIL-6の炎症マーカーがBMS群に比べDES群でのみ慢性期に有意に減少したことはPCI標的部位の炎症性変化を反映している可能性があり, 心事故や再狭窄の抑制効果の高いDESは病変局所の炎症反応抑制の役割を果たしているかもしれない.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.43.1319