当院における乳腺サポートチームでの理学療法士のかかわり

【目的】平成18年当院では「乳がん患者の会」立ち上げに向けて多職種からなる「乳がんサポートチーム」が結成され、チーム医療の重要性から理学療法士(以下PT)も発足当時から参加している。発足より3年目を迎えこれまでの活動内容と患者会でのアンケートを通してチーム内におけるPTの役割と患者会の意義を再認識したので報告する。【方法】質の高い医療・ケアの提供を目的としたサポートチームによる「乳がん情報提供の会」を「リボンの輪」と命名し、年4回開催している。1部に乳癌に関する講義を行ない、2部には患者を少数グループに分けてのグループディスカッションを行なっている。PTもサポートスタッフとして私服での会の運営...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 42
Main Authors 加藤, 祝也, 岸田, さな江, 水嶋, 優太, 林, 光弘, 多賀谷, 信美, 石坂, 勇人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2009
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.28.0.42.0

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Summary:【目的】平成18年当院では「乳がん患者の会」立ち上げに向けて多職種からなる「乳がんサポートチーム」が結成され、チーム医療の重要性から理学療法士(以下PT)も発足当時から参加している。発足より3年目を迎えこれまでの活動内容と患者会でのアンケートを通してチーム内におけるPTの役割と患者会の意義を再認識したので報告する。【方法】質の高い医療・ケアの提供を目的としたサポートチームによる「乳がん情報提供の会」を「リボンの輪」と命名し、年4回開催している。1部に乳癌に関する講義を行ない、2部には患者を少数グループに分けてのグループディスカッションを行なっている。PTもサポートスタッフとして私服での会の運営とグループディスカッションにファシリテーターとして参加している。疾患に対しての質問事項や退院後の生活のことなど治療の場面では知ることの出来ない患者の意見を聞くため「リボンの輪」終了後の毎回アンケート調査やグループディスカッションにより情報を収集し分析した。【結果】アンケートはこれまでに7回実施し、433名の総参加者数のうち275名(64%)から返答を得ている。参加者の年齢は20歳代から70歳代までと幅広く、徐々に家族・夫婦での参加者も増えており、また当院以外で手術を受けた患者も友人の勧誘等で参加をしている。アンケート結果やグループディスカッションからは以下のようなことが多く聞かれた。・治療について最新情報を知りたい・体験談等を少人数で話し合いたい・遺伝や転移の問題について・心のケアがほしい:話を聞いてもらえる場所、気持ちが楽になる場所・入院中に指導された事項が気になり何も出来なかった。リハビリテーションに関わる質問ではリンパマッサージ、術後の肩関節可動域、ストレッチについてなどであった。アンケートやグループディスカッションでの質問については専門分野のスタッフが返答し、共有情報として参加者全員に配布すると共に診療科窓口にも資料を置いてある。【考察】アンケート結果から、PTの役割も治療のみではなく、治療に伴う指導内容についても患者側ではどのように受け取られているのか確認することが必要であり、心のケアが欲しいなどの声は患者が抱える様々な背景を考慮した対応が必要ではないかと考えられた。【まとめ】アンケートや患者間の話し合いの場を通して、更なる質の高い医療・ケアを提供するために医療者側の意識改革と患者の声を聞く耳を持つPTの側面も求められていることを認識した。
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.28.0.42.0