ロコモ健診受診者の傾向と理学療法士の介入について

【目的】  ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は近年,潜在的該当者を含めたその増加により,予防的側面を重視した健診事業が注目されている.当院では2010年9月からロコモ健診を実施しており,健診には理学療法士も加わり専門的立場から受診者の機能評価・生活動作指導などを行っている.今回,ロコモの指標の一つであるロコモーションチェック(以下ロコチェック)と健診の結果から受診者の傾向を把握し,より適切な理学療法士の健診への介入方法について探ってみた. 【対象・方法】  2009年10月から2011年2月までの期間,当院ロコモ健診を受診し,日本整形外科学会ロコモパンフレットにあるロコチェック((1)片...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 30; p. 27
Main Author 鈴木, 善雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2011
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.30.0.27.0

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Summary:【目的】  ロコモティブシンドローム(以下ロコモ)は近年,潜在的該当者を含めたその増加により,予防的側面を重視した健診事業が注目されている.当院では2010年9月からロコモ健診を実施しており,健診には理学療法士も加わり専門的立場から受診者の機能評価・生活動作指導などを行っている.今回,ロコモの指標の一つであるロコモーションチェック(以下ロコチェック)と健診の結果から受診者の傾向を把握し,より適切な理学療法士の健診への介入方法について探ってみた. 【対象・方法】  2009年10月から2011年2月までの期間,当院ロコモ健診を受診し,日本整形外科学会ロコモパンフレットにあるロコチェック((1)片脚で靴下が履けない(2)階段を上るのに手すりが必要である(3)横断歩道を渡りきれない(4)15分くらい続けて歩けない(5)家の中でつまずいたり滑ったりする(6)家のやや重い仕事が困難である(7)2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である)を事前に実施した48名(平均年齢72.1±6.4歳,男性3名,女性45名)について,ロコチェックの該当項目数が0個の群と,1~2個の群,3個以上の群に分類(それぞれ非ロコモ群・ロコモA群・ロコモB群とした)し,各群間において健診内容である基礎体力測定(片脚立位時間・長座体前屈距離・握力・上体起こし回数・30秒間椅子から立ち上がり回数)と重心動揺検査(総軌跡長・外周面積)との結果を比較・検証した.なお検定にはKruskal -Wallis検定を使用し,多重比較はScheffe法を用いた(有意水準5%). 【結果】  ロコチェックの陽性率は,階段を上るのに手すりが必要(43%)で最も高く,次いで片脚立ちで靴下が履けない(39%)であった.各群と健診内容との比較では,片脚立位時間(非ロコモ群/ロコモB群 p <0.05),30秒間立ち上がり回数(非ロコモ群/ロコモB群 p<0.01,ロコモA群/ロコモB群p<0.01),外周面積(非ロコモ群/ロコモB群 p<0.05)において有意差を認め,それぞれロコチェックの該当数が少ない群ほど良好な結果を示した. 【考察】  今回,ロコチェックは基礎体力・重心動揺の結果において一部その予見性が確認でき,片脚立位時間・椅子からの立ち上がり回数・外周面積など,下肢筋力やバランス機能に関わる項目で有意な関係を示した.今後,ロコモ健診に携わる理学療法士はロコチェックを重視し,その予見性も考慮した上での評価・指導を行う必要性が示唆された.
Bibliography:O1-5-027
ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.30.0.27.0