棘上筋訓練に対するfullcan positionとemptycan positionの筋電図解析
【目的】 現在まで棘上筋の訓練肢位に関する研究は多くなされてきているが,一定の見解に至っているとは言い難い.Jobeはemptycan position(肩関節内旋位)を推奨し,逆にKellyはfullcan position(肩関節外旋位)を推奨している.また,武田らは前述の2方法をMRIにて比較しているが,有意差が認められなかったとしている.そこで本研究の目的は,前述2方法の検証を行うことである. 【方法】 肩関節に愁訴のない健常成人6名6肩(全例男性,平均年齢26.5±2.4歳)を対象とした.方法は, 測定は立位とし,fullcan position,emptycan positionの...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 98 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2009
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Subjects | |
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ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.28.0.98.0 |
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Summary: | 【目的】 現在まで棘上筋の訓練肢位に関する研究は多くなされてきているが,一定の見解に至っているとは言い難い.Jobeはemptycan position(肩関節内旋位)を推奨し,逆にKellyはfullcan position(肩関節外旋位)を推奨している.また,武田らは前述の2方法をMRIにて比較しているが,有意差が認められなかったとしている.そこで本研究の目的は,前述2方法の検証を行うことである. 【方法】 肩関節に愁訴のない健常成人6名6肩(全例男性,平均年齢26.5±2.4歳)を対象とした.方法は, 測定は立位とし,fullcan position,emptycan positionの2肢位にて肩甲骨面挙上30°,60°,90°の筋活動を測定した.なお,測定時にセラバンドを使用し抵抗下に行った.筋活動は筋電図(日本光電社製neuropack)を用いた.導出筋と導出方法は,棘上筋にワイヤー電極(ユニークメディカル社製)を使用し,棘下筋と三角筋前部線維と三角筋中部線維には表面電極を使用した.解析は肩甲骨面挙上30°,60°,90°のそれぞれ5秒間等尺性収縮を行い,前後2秒をカットし波形の安定した1秒間を算出した後,積分筋電図(以下IEMG)に換算した.さらに徒手筋力検査の肢位に準じた最大等尺性収縮時のIEMGで除して%MVCを算出した. 【結果】 棘上筋は,30°ではfullcan position13.0±5.6%,emptycan position10.7±3.9%であった.60°ではfullcan position18.4±5.8%,emptycan position26.4±11.5%であった.90°ではfullcan position24.0±10.5%,emptycan position34.9±15.5%であった.なお各群に統計的有意差はなかった. 【考察】 棘上筋が30°ではfullcan positionの筋活動が大きいことに関して,mochizukiらは棘上筋は大結節の前方部に強い腱性部を中心にして停止するとしており,また皆川らは棘上筋を三次元モデル化し力学的構造を検討し付着部の前外側が最も力学的に集中する位置としている.そのため挙上初期においてはfullcan positionにて筋活動が大きくなることが予測された. 【まとめ】 棘上筋は,30°ではfullcan postionの筋活動がemptycanに比べて大きく,60°・90°ではemptycan positionの筋活動がfullcan positionに比べて大きかった. |
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ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.28.0.98.0 |