大腿骨頚部・転子部骨折地域連携パスにおける治療期間と歩行能力・転帰先の検討

【目的】当院での地域連携パス(以下CP)は受傷前の屋外移動能力によりパスを分類(A:手放し自立、B:歩行補助具自立)し、治療期間をA術後5週(35日)、B術後8週(56日)、最終転帰を屋外歩行自立(歩行補助具は問わない)・自宅退院と目標設定している。今回CPにおける治療期間と最終退院時の歩行能力・転帰先から妥当性のある達成基準について検討した。【対象・方法】06年7月から09年12月までに大腿骨頚部・転子部骨折を受傷し当院にて手術を施行した患者のうち、連携先へ転院しCPが完結した59例(A34例、B25例)。年齢74.5±11.8歳(A70.9±13.3歳、B79.4±7.1歳)、男性16例・...

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Published in関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 29; p. 18
Main Authors 竹内, 正人, 神川, 康也, 大泉, 小百合, 小川, 優美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会 2010
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ISSN0916-9946
2187-123X
DOI10.14901/ptkanbloc.29.0.18.0

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Summary:【目的】当院での地域連携パス(以下CP)は受傷前の屋外移動能力によりパスを分類(A:手放し自立、B:歩行補助具自立)し、治療期間をA術後5週(35日)、B術後8週(56日)、最終転帰を屋外歩行自立(歩行補助具は問わない)・自宅退院と目標設定している。今回CPにおける治療期間と最終退院時の歩行能力・転帰先から妥当性のある達成基準について検討した。【対象・方法】06年7月から09年12月までに大腿骨頚部・転子部骨折を受傷し当院にて手術を施行した患者のうち、連携先へ転院しCPが完結した59例(A34例、B25例)。年齢74.5±11.8歳(A70.9±13.3歳、B79.4±7.1歳)、男性16例・女性43例、術式は人工骨頭置換術20例(A13例、B7例)・骨接合術39例(A21例、B18例)。治療期間はA:基準+1週、B:基準+2週を超えた場合をバリアンスとし、目標達成群とバリアンス発生群に分類し、バリアンス発生率を算出した。転帰として、最終退院時の屋外・屋内歩行自立の獲得率と歩行補助具の有無を調査し、また自宅復帰率を算出した。【結果】治療期間: バリアンス発生率はA47%、B60%。目標達成群はA37.4±2.6日、B55.3±10.3日、中央値はA37.0日、B56.5日。バリアンス発生群では、A62.7±17.9日、B106.5±25.8日、中央値はA58.5日、B103.0日。バリアンス要因はA・B共に患者要因が最も多く、詳細は荷重制限や活動量低下をもたらす既往、歩行・ADL改善の遅れ、疼痛であった。次に介護力不足や在宅設備の遅れなどの社会的要因であった。歩行能力:Aでは屋外歩行の自立が65%(手放し歩行32%、補助具歩行33%)、監視は21%(補助具歩行のみ)、屋内歩行では自立が79%(手放し歩行56%、補助具歩行23%)、監視は18%(補助具歩行のみ)。Bでは屋外歩行の自立が40%(補助具歩行のみ)、監視は44%(補助具歩行のみ)、屋内歩行では自立が64%(手放し歩行4%、補助具歩行60%)、監視は36%(手放し歩行8%、補助具歩行28%)。自宅復帰率はA88%、B84%。【考察】治療期間に関してA・Bともに妥当性は低い。患者要因のうち術前より対応可能な「活動性低下をもたらす既往」に対して治療期間の延長を検討する必要がある。転帰に関して、自宅復帰には屋外歩行自立が必ずしも必要ではなく、監視を含めた介助歩行でも自宅退院していることが示された。一般的に妥当性のあるクリニカルパスはバリアンス発生率が20%程度とされ、また歩行能力が監視でも自宅退院していることからA:屋外歩行自立~監視、屋内歩行自立、B:屋外歩行監視、屋内歩行自立~監視の獲得での目標設定の変更を検討する必要がある。
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ISSN:0916-9946
2187-123X
DOI:10.14901/ptkanbloc.29.0.18.0