FCR法(ファジィ多項目並列評定法)による外国語学習方略調査の検討

外国語学習方略の調査では評定尺度法がよく用いられるが,従来の評定尺度法には回答の強制選択や中間的応答の多義性など,さまざまな問題点がある.小田(1993)は,このような評定尺度法の問題点を改善するためにファジィ多項目並列評定法(FCR法)を考案している.本研究では,外国語学習方略の質問紙調査を評定尺度法とFCR法を用いて実施し,両技法による調査結果を比較した.評定尺度法による調査時には,LL教室の個別録音装置を用いて被験者全員の発話プロトコルデータも収集した.比較の結果,両技法の測定精度にほとんど差は見られなかったが,FCR法の矛盾度指標からは,質問項目の一部は本実験被験者にとって不適切であっ...

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Published in日本教育工学雑誌 Vol. 22; no. 3; pp. 167 - 177
Main Authors 木村, 隆, 小田, 哲久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本教育工学会 1998
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ISSN0385-5236
2432-6038
DOI10.15077/jmet.22.3_167

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Summary:外国語学習方略の調査では評定尺度法がよく用いられるが,従来の評定尺度法には回答の強制選択や中間的応答の多義性など,さまざまな問題点がある.小田(1993)は,このような評定尺度法の問題点を改善するためにファジィ多項目並列評定法(FCR法)を考案している.本研究では,外国語学習方略の質問紙調査を評定尺度法とFCR法を用いて実施し,両技法による調査結果を比較した.評定尺度法による調査時には,LL教室の個別録音装置を用いて被験者全員の発話プロトコルデータも収集した.比較の結果,両技法の測定精度にほとんど差は見られなかったが,FCR法の矛盾度指標からは,質問項目の一部は本実験被験者にとって不適切であった可能性が示唆された.発話プロトコルデータの分析を通じて被験者の応答態度を調べたところ,これらは実際に被験者が一義的な回答を困難と感じる項目であったことが確認でき,矛盾度指標の有効性が示された.
ISSN:0385-5236
2432-6038
DOI:10.15077/jmet.22.3_167