広範囲腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(patch法)施行後の外旋筋力回復の報告
【目的】当院では2002年より全例鏡視下にて腱板修復術を施行している。また、一次修復が不能であった広範囲腱板断裂に対してテフロンフェルトを用いたpatch法(以下patch法)を施行している。近年、鏡視下で行われるpatch法に関する術後成績の報告は散見されるが、術後腱板筋力についての報告は極めて少ない。諸家の報告では、広範囲腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(以下ARCR)やpatch法施行後の筋力回復の成績は、良好ではないと報告されている。今回、当院にてpatch法を施行し術後12・24・36ヶ月で筋力測定を行えた症例を数例経験したので、外旋筋力の経時的な回復について検討し報告する。【方法】...
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Published in | 関東甲信越ブロック理学療法士学会 Vol. 28; p. 48 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
2009
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0916-9946 2187-123X |
DOI | 10.14901/ptkanbloc.28.0.48.0 |
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Summary: | 【目的】当院では2002年より全例鏡視下にて腱板修復術を施行している。また、一次修復が不能であった広範囲腱板断裂に対してテフロンフェルトを用いたpatch法(以下patch法)を施行している。近年、鏡視下で行われるpatch法に関する術後成績の報告は散見されるが、術後腱板筋力についての報告は極めて少ない。諸家の報告では、広範囲腱板断裂に対する鏡視下腱板修復術(以下ARCR)やpatch法施行後の筋力回復の成績は、良好ではないと報告されている。今回、当院にてpatch法を施行し術後12・24・36ヶ月で筋力測定を行えた症例を数例経験したので、外旋筋力の経時的な回復について検討し報告する。【方法】測定に同意を得たpatch法施行患者、12ヶ月2名・24ヶ月3名・36ヶ月3名、計8名の外旋筋力を、MEDICAL DEVICE SOLUTION社製ISOBEXを用いて、座位にて6秒間測定し、健患比の平均を算出したものを用いて期間別での回復、達成度合を検討する。【結果】patch法施行患者における外旋筋力の平均は12ヶ月で70%、24ヶ月で79%、36ヶ月で91%であり、約36ヶ月まで外旋筋力の向上が見られる結果となった。【考察】当院でのpatch法施行後の理学療法としては、術直後から外転装具にて固定し、肩甲帯や患部外運動を積極的に開始する。装具固定期間は通常より1週間長い4週間の固定とした。また、退院後は週2回程度の頻度で理学療法を行っている。今回、patch法施行患者の外旋筋力の回復が遅れた原因については、断裂筋の組織学的問題や筋萎縮による腱板の機能不全が考えられる。断裂の大きさと機能の関連性について緒家の報告では、可動域・筋力・ADL等、有意性は無いが大断裂の方が予後不良の傾向にあると述べている。今回、当院で行った測定結果においても、可動域・外旋筋力の回復は広範囲断裂以外のARCR施行患者と比べ回復に期間を要する結果であった。しかし、36ヶ月まで筋力の改善が見られたことから、patch法施行患者においても、期間を要すれば約36ヶ月前後で健側90%程度の外旋筋力回復は臨めるのではないかと考える。本研究では各期間で外旋筋力の向上が見られる傾向となったが、今後の課題としては断裂筋の組織学的問題を考慮し、理学療法プログラムを再考する必要があると考える。 |
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Bibliography: | 48 |
ISSN: | 0916-9946 2187-123X |
DOI: | 10.14901/ptkanbloc.28.0.48.0 |