等尺性収縮における外側広筋の筋電位伝導速度 その筋線維組成との関連
陸上競技選手の右外側広筋における等尺性収縮中の筋電位伝導速度と, その筋線維組成の関係について検討した.被検者の筋線維組成は短距離走者群が平均69.2%FT線維 (男子12名) であり, 長距離走者群は39.7%FT線維 (男子7名) であった. 1) 外側広筋の筋電位伝導速度は2つの表面筋電位信号のゼロクロス時間差により計測した.その結果, 脚伸展による収縮力を最大筋力 (MVC) の25%から100%まで増すことにより, 伝導速度は短距離走者群では平均4.40から4.84m/sec, また長距離走者群では平均3.91から4.31m/secまでS字状に増加した.両者の間には有意な伝導速度の差...
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Published in | 体力科学 Vol. 34; no. 4; pp. 231 - 238 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人日本体力医学会
01.08.1985
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ISSN | 0039-906X 1881-4751 |
DOI | 10.7600/jspfsm1949.34.231 |
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Summary: | 陸上競技選手の右外側広筋における等尺性収縮中の筋電位伝導速度と, その筋線維組成の関係について検討した.被検者の筋線維組成は短距離走者群が平均69.2%FT線維 (男子12名) であり, 長距離走者群は39.7%FT線維 (男子7名) であった. 1) 外側広筋の筋電位伝導速度は2つの表面筋電位信号のゼロクロス時間差により計測した.その結果, 脚伸展による収縮力を最大筋力 (MVC) の25%から100%まで増すことにより, 伝導速度は短距離走者群では平均4.40から4.84m/sec, また長距離走者群では平均3.91から4.31m/secまでS字状に増加した.両者の間には有意な伝導速度の差が認められた. 2) 伝導速度と%FT線維との相関係数は25, 50, 75および100%MVCの各収縮レベルにおいて, それぞれ0.59, 0.63, 0.64および0.84であった. 3) 50%MVCの持続にともなう伝導速度の変化は, 短距離走者群が平均4.77から4.38m/secへと直線的に低下したのに対し, 長距離走者群のそれは4.11から3.96m/secへと最終ステージにおいてのみ低下した. これらの結果より, 伝導速度の個人的なちがいは筋線維組成によるもので, FT線維の比率の高い筋ほど伝導速度が速いこと, また伝導速度の変化は筋線維の動員様式に依存することが明らかになった. |
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ISSN: | 0039-906X 1881-4751 |
DOI: | 10.7600/jspfsm1949.34.231 |