アンケート調査による森林由来カーボンクレジットの購入者の分析 新潟県版J-クレジットにおける事例

森林由来J-クレジット(森林クレジット)の認証量は年々増加しているが,販売の難しさが課題となっている。本研究は森林クレジット購入者の特徴や購入動機などを明らかにすることで,森林クレジット取引の活性化に向けた取組を検討した。新潟県の六つの森林管理プロジェクトから森林クレジットを購入した179者にアンケートを送付し,96者から回答を得た。森林クレジット購入者の多くは地域貢献を目的とした小規模事業者で,1回の平均購入量は5 t-CO2以下と非常に少なかった。購入者の多くが県の担当者,プロジェクト実施者,仲介者(コーディネーター)のいずれかの紹介をきっかけに購入していた。このうちコーディネーターは新規...

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Published in日本森林学会誌 Vol. 107; no. 2; pp. 17 - 25
Main Authors 渡邊, 匠海, 柴田, 嶺, 豊田, 光世
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本森林学会 14.03.2025
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ISSN1349-8509
1882-398X
DOI10.4005/jjfs.107.17

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Summary:森林由来J-クレジット(森林クレジット)の認証量は年々増加しているが,販売の難しさが課題となっている。本研究は森林クレジット購入者の特徴や購入動機などを明らかにすることで,森林クレジット取引の活性化に向けた取組を検討した。新潟県の六つの森林管理プロジェクトから森林クレジットを購入した179者にアンケートを送付し,96者から回答を得た。森林クレジット購入者の多くは地域貢献を目的とした小規模事業者で,1回の平均購入量は5 t-CO2以下と非常に少なかった。購入者の多くが県の担当者,プロジェクト実施者,仲介者(コーディネーター)のいずれかの紹介をきっかけに購入していた。このうちコーディネーターは新規購入者の獲得が多く,販路の拡大に有効と考えられた。しかし,コーディネーター経由の場合の多くは購入量が少なく,継続購入の意欲も低かった。対照的に,自主的な情報収集がきっかけの場合は購入量が多く,継続購入にも意欲的だった。以上より,森林クレジット取引の活性化には,コーディネーター経由の購入者の意欲を高めるための対策と,環境貢献に意欲的な事業者の目に留まる機会を増やすための情報発信が有効と考えられた。
ISSN:1349-8509
1882-398X
DOI:10.4005/jjfs.107.17