腹腔鏡手術を施行した急性虫垂炎による虫垂小腸瘻の1例

症例は50歳代の女性.発熱,腹痛,嘔吐を主訴に受診し,急性虫垂炎とそれに伴った麻痺性イレウスの診断で保存的加療を施行された.待機的虫垂切除術を予定していたが,待機期間中に腹痛が再度発症し,癒着性腸閉塞の診断で再度入院となった.経鼻イレウス管による加療を行うも腸閉塞の改善がなく,手術を施行した.腹腔鏡にて腹腔内を観察すると,明らかな腸管の癒着は認めず,虫垂が回腸と瘻孔を形成していた.腸閉塞の原因として,瘻孔部での小腸の屈曲やねじれなどが考えられた.鏡視下で虫垂の根部を切離した後に,臍部小切開創から回腸を挙上し,瘻孔形成部分の小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好であった.虫垂炎により虫垂が他臓...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 78; no. 2; pp. 67 - 71
Main Authors 小森, 孝通, 加藤, 雅也, 笹生, 和宏, 水野, 剛志, 内山, 優史, 福永, 睦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本大腸肛門病学会 2025
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.78.67

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Summary:症例は50歳代の女性.発熱,腹痛,嘔吐を主訴に受診し,急性虫垂炎とそれに伴った麻痺性イレウスの診断で保存的加療を施行された.待機的虫垂切除術を予定していたが,待機期間中に腹痛が再度発症し,癒着性腸閉塞の診断で再度入院となった.経鼻イレウス管による加療を行うも腸閉塞の改善がなく,手術を施行した.腹腔鏡にて腹腔内を観察すると,明らかな腸管の癒着は認めず,虫垂が回腸と瘻孔を形成していた.腸閉塞の原因として,瘻孔部での小腸の屈曲やねじれなどが考えられた.鏡視下で虫垂の根部を切離した後に,臍部小切開創から回腸を挙上し,瘻孔形成部分の小腸部分切除術を施行した.術後経過は良好であった.虫垂炎により虫垂が他臓器と瘻孔形成をきたす報告は散見されるが,小腸と瘻孔を形成した症例報告はほとんど認めない.今回,稀な症例を経験したため報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.78.67