左室緻密化障害に合併した房室結節回帰性頻拍の1例
症例は64歳,男性.NYHA II度の心不全で入院となった.心臓超音波上,左室駆出率24%と低下しており,左室緻密化障害が疑われた.入院治療後,心不全は軽快したが,経過中からQRS直前にP’波を伴う上室性頻拍(SVT)が持続したため,電気生理学的検査を施行した.右室刺激での逆行性心房最早期興奮部位はHis束電位記録部位(HBE)であった.心房早期刺激により房室伝導のjump upを認めた後,HBEを心房最早期興奮部位とする頻脈周期578 msのSVTが誘発された.SVT中に右室より早期刺激を施行したが,心房興奮のresetは認めなかった.以上より,房室結節回帰性頻拍(AVNRT)と診断し,遅伝...
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| Published in | 心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_56 - S3_62 |
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| Main Authors | , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
公益財団法人 日本心臓財団
2012
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI | 10.11281/shinzo.44.S3_56 |
Cover
| Summary: | 症例は64歳,男性.NYHA II度の心不全で入院となった.心臓超音波上,左室駆出率24%と低下しており,左室緻密化障害が疑われた.入院治療後,心不全は軽快したが,経過中からQRS直前にP’波を伴う上室性頻拍(SVT)が持続したため,電気生理学的検査を施行した.右室刺激での逆行性心房最早期興奮部位はHis束電位記録部位(HBE)であった.心房早期刺激により房室伝導のjump upを認めた後,HBEを心房最早期興奮部位とする頻脈周期578 msのSVTが誘発された.SVT中に右室より早期刺激を施行したが,心房興奮のresetは認めなかった.以上より,房室結節回帰性頻拍(AVNRT)と診断し,遅伝導路の離断を試みた.通電開始後,数回接合部調律が出現した.その後のプログラム刺激でjump upを認めず,また,SVTも誘発されなくなった. |
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| ISSN: | 0586-4488 2186-3016 |
| DOI: | 10.11281/shinzo.44.S3_56 |