左側副伝導路と右側副伝導路を合併した潜在性Wolff-Parkinson-White(WPW) 症候群の1例

症例は62歳,男性.ATP静注で停止するHR190bpmの上室性頻拍に対して,カテーテルアブレーションを行った.高位右房,冠静脈洞,ヒス束,右室に電極カテーテルを留置し,誘発を行ったところ心房シーケンスの異なる2つのregular narrow QRS tachycardiaが誘発され(PSVT1およびPSVT2),途中で互いに移り変わるのが確認された.心房の最早期興奮部位はそれぞれ僧帽弁輪5時方向とヒス束領域であった.PSVT1は心房リセット現象を示したため,左副伝導路を介する正方向性房室回帰性頻拍(AVRT)と判断した. 経中隔的に僧帽弁輪をマッピングし,心室ペーシング中に僧帽弁輪の左副伝...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_82 - S3_87
Main Authors 豊島, 優子, 岩倉, 克臣, 外海, 洋平, 土井, 淳史, 井上, 耕一, 木村, 竜介, 藤井, 謙司, 増田, 正晴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_82

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Summary:症例は62歳,男性.ATP静注で停止するHR190bpmの上室性頻拍に対して,カテーテルアブレーションを行った.高位右房,冠静脈洞,ヒス束,右室に電極カテーテルを留置し,誘発を行ったところ心房シーケンスの異なる2つのregular narrow QRS tachycardiaが誘発され(PSVT1およびPSVT2),途中で互いに移り変わるのが確認された.心房の最早期興奮部位はそれぞれ僧帽弁輪5時方向とヒス束領域であった.PSVT1は心房リセット現象を示したため,左副伝導路を介する正方向性房室回帰性頻拍(AVRT)と判断した. 経中隔的に僧帽弁輪をマッピングし,心室ペーシング中に僧帽弁輪の左副伝導路を焼灼した.その後もPSVT2が誘発された.心房リセット現象を認め,心室早期刺激では室房伝導の減衰を認めず,para-Hisian pacingでは副伝導路パターンを示した.頻拍中に右房をマッピングしたところ,三尖弁輪0時方向が心房最早期興奮部位であった.頻拍中に同部位に通電したところ頻拍は停止し,以後は誘発されなくなった.通電後は室房伝導が消失した.左側副伝導路と右側副伝導路を合併し,2種類の正方向性AVRTを認めた珍しい症例を経験したので報告する.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_82