表在性膀胱腫瘍の腔内再発と悪性進展

医歯大病院および関係病院の膀胱腫瘍症例のうち, 1981年末までの1,010例を集めて種々検討した. このシリーズでは, 初回に表在性膀胱腫瘍 (Ta, Tl) と判定し, その後2年以上, 平均3年6カ月追跡し得た515例の中から, 237例の腔内再発と38例の悪性進展例がみられた. まず腔内再発例を非再発例と比較しつつ検討したところ, 腔内再発のリスクの高いものは, 初回の腫瘍が, 多発性, 細胞診陽性, 病理学的にG2のものであった. 次に悪性進展例を非進展例と比較しつつ検討したところ, 初回の細胞診が(±)もしくは(+), 腫瘍が病理学的に high grade (G2, G3), 初...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 76; no. 3; pp. 378 - 382
Main Authors 斉藤, 隆, 田利, 清信, 福井, 巌, 関根, 英明, 根岸, 壮治, 山田, 拓己, 酒井, 邦彦, 大和田, 文雄, 岡, 薫, 石渡, 大介, 横川, 正之, 鷲塚, 誠, 野呂, 彰, 河合, 恒雄, 細田, 和成, 皿田, 敏明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1985
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.76.3_378

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Summary:医歯大病院および関係病院の膀胱腫瘍症例のうち, 1981年末までの1,010例を集めて種々検討した. このシリーズでは, 初回に表在性膀胱腫瘍 (Ta, Tl) と判定し, その後2年以上, 平均3年6カ月追跡し得た515例の中から, 237例の腔内再発と38例の悪性進展例がみられた. まず腔内再発例を非再発例と比較しつつ検討したところ, 腔内再発のリスクの高いものは, 初回の腫瘍が, 多発性, 細胞診陽性, 病理学的にG2のものであった. 次に悪性進展例を非進展例と比較しつつ検討したところ, 初回の細胞診が(±)もしくは(+), 腫瘍が病理学的に high grade (G2, G3), 初回治療後も腔内再発を頻発 (1年1回以上) するものが, 悪性進展の risk factor と考えられた. また初回腫瘍の増殖様式 (乳頭状か非乳頭状か), 大きさ, 数は進展と関係があるようにみえるものの, 有意な risk factor とは言えないという成績であった. Risk factor をもつ例には厳重な追跡が大切であり, その際, 細胞診が重要な役割を演じうるものと考えられた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.76.3_378