心筋炎に合併した完全房室ブロックに心臓再同期療法を行った1例

症例は50歳代,男性.2011年9月某日から労作時呼吸困難感あり,7日目に腹痛を主訴に当院救急外来を受診.収縮期血圧82mmHg,完全房室ブロックで心拍45/分,X線画像では肺うっ血と胸腹水があった.心エコー図ではLVDd/Ds=58/49mm(FS 15.5%)で左室壁運動はび漫性低下を示した.冠動脈に有意狭窄なく心筋生検ではリンパ球中心に細胞浸潤あり心筋炎と診断した.右室心尖部から一時的ペーシングを行ったが翌日の心エコー図検査で壁運動が,さらに低下したため,両室ペーシング機能付きペースメーカー(CRT-P)を移植した.同日から症状改善し,7日目に心エコー図所見は正常化した.房室伝導は入院1...

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Published in心臓 Vol. 44; no. SUPPL.3; pp. S3_12 - S3_17
Main Authors 杉本, 匡史, 掘口, 昌秀, 世古, 哲哉, 笠井, 篤信, 高村, 武志, 河村, 晃弘, 坂部, 茂俊, 高崎, 亮宏, 森脇, 啓至, 森, 一樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2012
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo.44.S3_12

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Summary:症例は50歳代,男性.2011年9月某日から労作時呼吸困難感あり,7日目に腹痛を主訴に当院救急外来を受診.収縮期血圧82mmHg,完全房室ブロックで心拍45/分,X線画像では肺うっ血と胸腹水があった.心エコー図ではLVDd/Ds=58/49mm(FS 15.5%)で左室壁運動はび漫性低下を示した.冠動脈に有意狭窄なく心筋生検ではリンパ球中心に細胞浸潤あり心筋炎と診断した.右室心尖部から一時的ペーシングを行ったが翌日の心エコー図検査で壁運動が,さらに低下したため,両室ペーシング機能付きペースメーカー(CRT-P)を移植した.同日から症状改善し,7日目に心エコー図所見は正常化した.房室伝導は入院12日目に再開したがPR:280msec,右脚ブロック左軸偏位だった.房室ブロックを合併した急性心筋炎においてCRTは有効な補助療法になり得るものと考えるが,房室ブロックは可逆性の障害とされており今後,議論されるものと考える.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo.44.S3_12