Reflux Nephropathy の臨床と病理

283例の primary VUR中, 腎病変, 障害を合併した症例を中心に臨床的・病理組織学的検討を加えた. (1) 蛋白尿 and/or 血尿は25例に認め, 成人男子に有意に高率で潜在性腎不全者が多い. 感染を欠き発見が遅れるのが関係しているのかもしれない. (2) 腎の瘢痕性変化の頻度には性差, 年齢差を認めない. 腎の萎縮が高度な時, 小児では腎形成異常と高窒素血症, 成人女子では高血圧の合併が多かった. (3) 腎機能低下を伴わない高血圧は女子に多く, レニン活性上昇は30%に認めた. 半数は尿路感染の既往を認めていない. (4) 腎機能低下は15例に認めた. 小児9例では男児に圧...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 75; no. 4; pp. 688 - 696
Main Authors 平野, 哲夫, 荒川, 政憲, 後藤, 敏明, 小柳, 知彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1984
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.75.4_688

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Summary:283例の primary VUR中, 腎病変, 障害を合併した症例を中心に臨床的・病理組織学的検討を加えた. (1) 蛋白尿 and/or 血尿は25例に認め, 成人男子に有意に高率で潜在性腎不全者が多い. 感染を欠き発見が遅れるのが関係しているのかもしれない. (2) 腎の瘢痕性変化の頻度には性差, 年齢差を認めない. 腎の萎縮が高度な時, 小児では腎形成異常と高窒素血症, 成人女子では高血圧の合併が多かった. (3) 腎機能低下を伴わない高血圧は女子に多く, レニン活性上昇は30%に認めた. 半数は尿路感染の既往を認めていない. (4) 腎機能低下は15例に認めた. 小児9例では男児に圧倒的に多く, 主訴として低身長と蛋白尿が目立ち, 初診時から既に高度腎不全例が多い. 成人6例では性差なく主訴としては高血圧と蛋白尿が目立ち, 末期腎不全例が4例に見られた (1例は初診時から, 他は5年以内に進行). (5) 9家系の家族性VUR例のHLAには特別の傾向を認めなかった. (6) 腎組織病変は11検体で評価可能で, 1例を除き腎孟腎炎性変化陽性. 腎形成異常は4腎に認めた. 6腎に巣状糸球体硬化を認め, 内3腎には蛍光抗体法にてIgMとC3の糸球体内沈着陽性. 内1腎では非硬化性糸球体にIgAの沈着陽性. 他の1腎では増殖性糸球体腎炎 (IgM沈着) と診断された. 以上より蛋白尿, 腎機能低下と巣状糸球体硬化症が密接に関連していると結論され, その発生病理につき特に糸球体濾過亢進仮説に注目しつつ考察を加えた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.75.4_688