膀胱マラコプラキアにおける細菌抗原の免疫組織化学的観察

死体腎移植術後に発生した膀胱マラコプラキア患者の尿中より分離された E. coli に対する抗体を作製し, 組織内の細菌抗原の局在を検討した. 細菌抗原は, 膀胱粘膜下組織に広範囲に分布し, 組織球内においては, 大小さまざまの細胞質内顆粒として, おそらくは, phagolysosome 内に存在するものと思われた. 同時に施行した通常の電顕的観察により, 細菌は, 膀胱粘膜下に深く浸入し, 組織球によって貪食処理され, その抗原が組織球内, phagolysosome 内にとどまるものと思われた. このことは, 現在までの組織化学的観察, 電顕的観察によって示唆されてきた, 細菌のマラコプ...

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Published in日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 75; no. 5; pp. 772 - 777
Main Authors 石原, 哲, 西浦, 常雄, 竹内, 敏視, 前田, 真一, 坂, 義人, 篠田, 育男, 栗山, 学, 出口, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 社団法人 日本泌尿器科学会 1984
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ISSN0021-5287
1884-7110
DOI10.5980/jpnjurol1928.75.5_772

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Summary:死体腎移植術後に発生した膀胱マラコプラキア患者の尿中より分離された E. coli に対する抗体を作製し, 組織内の細菌抗原の局在を検討した. 細菌抗原は, 膀胱粘膜下組織に広範囲に分布し, 組織球内においては, 大小さまざまの細胞質内顆粒として, おそらくは, phagolysosome 内に存在するものと思われた. 同時に施行した通常の電顕的観察により, 細菌は, 膀胱粘膜下に深く浸入し, 組織球によって貪食処理され, その抗原が組織球内, phagolysosome 内にとどまるものと思われた. このことは, 現在までの組織化学的観察, 電顕的観察によって示唆されてきた, 細菌のマラコプラキアに特徴的病理形成への関与を, 細菌抗原を組織レベルで直接証明したことにより, より明瞭にしたものと思われた.
ISSN:0021-5287
1884-7110
DOI:10.5980/jpnjurol1928.75.5_772