尿路結石症の発生に夕食摂取量が及ぼす影響
食事 (食生活) が尿中諸物質の排泄量に及ぼす影響力は大きく, ために尿路結石症の再発予防として食事指導の意義は重大である. そこで今回は, より具体的な食事指導を完成させる目的から, 夕食摂取量と早朝第1尿について検討した. 男子結石患者80名の夕食比はすべての栄養素が40%以上であり, 特に動物性蛋白質の夕食比は54.1%と最も高かった. 夕食摂取量の多い症例は朝も昼も大量に食べる大食漢という訳ではなく, 夕食にまとめて大量に摂取していた. 早朝第1尿Ca排泄量と正の相関を認めた栄養素は, 夕食Ca摂取量 (p<0.01) と夕食総蛋白質摂取量 (p<0.05) であった. 早...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 3; pp. 481 - 486 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1988
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Online Access | Get full text |
ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.79.3_481 |
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Summary: | 食事 (食生活) が尿中諸物質の排泄量に及ぼす影響力は大きく, ために尿路結石症の再発予防として食事指導の意義は重大である. そこで今回は, より具体的な食事指導を完成させる目的から, 夕食摂取量と早朝第1尿について検討した. 男子結石患者80名の夕食比はすべての栄養素が40%以上であり, 特に動物性蛋白質の夕食比は54.1%と最も高かった. 夕食摂取量の多い症例は朝も昼も大量に食べる大食漢という訳ではなく, 夕食にまとめて大量に摂取していた. 早朝第1尿Ca排泄量と正の相関を認めた栄養素は, 夕食Ca摂取量 (p<0.01) と夕食総蛋白質摂取量 (p<0.05) であった. 早朝第1尿Ca濃度は結石患者と対照群 (男子健康成人44名) との間に差を認めなかったが, 両群ともCa濃度が15mg/dl以上の症例がそれぞれ60%, 50%にみられた. 一方Ca排泄量 (mg/g. creatinine) は, 結石患者のほうが明らかに増加していた. 以上の結果から, 夕食摂取量に関する食事指導として, 以下のような具体策が考えられた. 1) 単に1日摂取量にぼかり注意を払うのではなく, 朝, 昼, 夕3食のバランスを考慮し, 夕食摂取量過多を是正する. 2) 夕食および夕食後には乳製品などのCaを多量に含んだ食品の摂取は控えめにする. 3) 夕食および夕食後には水分をしっかり飲む. 4) 遅い夕食はなるべく避けて, 夕食から就寝までの間隔をあけ, 就寝中の尿中諸物質の濃度を下げる. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.3_481 |