塩酸パパベリン局所投与により惹起される勃起について
塩酸パパベリンで惹起される勃起を血管性インポテンスの診断に利用できるかどうか, 被験者22名 (インポテンス患者9名, その他13名, 平均52.5歳) に対し, 塩酸パパベリン40mgを右陰茎海綿体内に局所投与し, この際に生じる陰茎勃起と陰茎海綿体内血流動態を, 同時に観察した. 陰茎勃起は理学的所見および陰茎周径測定にて評価し, 陰茎海綿体内血流は, 露出型関電極酸素電極による組織脱分極電流値変動および陰茎周径変化同時記録で観察した. 1. 被験者22名中12名 (54%) で勃起 (full erection) が確認された. 2. 勃起群 (full erection), 不完全勃起...
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Published in | 日本泌尿器科學會雑誌 Vol. 79; no. 5; pp. 799 - 806 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
社団法人 日本泌尿器科学会
1988
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ISSN | 0021-5287 1884-7110 |
DOI | 10.5980/jpnjurol1928.79.5_799 |
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Summary: | 塩酸パパベリンで惹起される勃起を血管性インポテンスの診断に利用できるかどうか, 被験者22名 (インポテンス患者9名, その他13名, 平均52.5歳) に対し, 塩酸パパベリン40mgを右陰茎海綿体内に局所投与し, この際に生じる陰茎勃起と陰茎海綿体内血流動態を, 同時に観察した. 陰茎勃起は理学的所見および陰茎周径測定にて評価し, 陰茎海綿体内血流は, 露出型関電極酸素電極による組織脱分極電流値変動および陰茎周径変化同時記録で観察した. 1. 被験者22名中12名 (54%) で勃起 (full erection) が確認された. 2. 勃起群 (full erection), 不完全勃起群 (incomplete erection) の陰茎周径増加は, それぞれ15.2±3.3mm (平均±SD), 4.3±2.7mm (平均±SD) であった. 3. 陰茎海綿体静脈洞への動脈血流入の程度は, 勃起群では不完全勃起群に比較し, 有意 (p<0.01) に大きかった. 4. 勃起群12名中にも, 陰茎海綿体血液流出路の閉塞の強いもの (うっ血タイプ) 5名と弱いもの (充血タイプ) 7名とが認められ, 前者では後者に比較し, 理学的に判定して, 勃起硬度が充分で, さらに勃起持続時間も有意 (p<0.01) に長かった. 以上の結果より, 塩酸パパベリンの陰茎海綿体内局所投与で惹起される勃起の評価で, その際生じる陰茎海綿体内血流動態を推定することが可能で, 血管性インポテンス, 特に静脈性インポテンスのスクリーニングテストとして利用できることが判明した. |
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ISSN: | 0021-5287 1884-7110 |
DOI: | 10.5980/jpnjurol1928.79.5_799 |