顎矯正手術のリスクマネージメントにおけるクリニカルパスの役割 当科におけるクリニカルパスの改訂を通して

「緒言」クリニカルパスは, 医療の標準化と効率化を目的として1980年代に米国医療界で取り入れられた手法(以後, ツールと記す)である1). また, 顎矯正手術は比較的定型的な手術・治療を行うことから, 歯科口腔外科領域において最もクリニカルパスに適していると言っても過言ではない. 一方, 近年医療従事者に求められている医療安全の質の向上を考えた際, 漠然と問題点を捉えるより具現化された問題に対して具体的な対策を講じることが効果的である. したがって, クリニカルパスで生じた予測された経過や結果と異なる事象(以後, ヴァリアンスと記す)や逸脱症例を分析して改訂を行うことが, 直ちに医療安全の質...

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Published in日本顎変形症学会雑誌 Vol. 18; no. 1; pp. 1 - 9
Main Authors 高野, 伸夫, 松崎, 英雄, 市川, 秀樹, 伊藤, 亜希, 成田, 真人, 田中, 潤一, 大畠, 仁
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本顎変形症学会 15.04.2008
日本顎変形症学会
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ISSN0916-7048
1884-5045
DOI10.5927/jjjd1991.18.1

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Summary:「緒言」クリニカルパスは, 医療の標準化と効率化を目的として1980年代に米国医療界で取り入れられた手法(以後, ツールと記す)である1). また, 顎矯正手術は比較的定型的な手術・治療を行うことから, 歯科口腔外科領域において最もクリニカルパスに適していると言っても過言ではない. 一方, 近年医療従事者に求められている医療安全の質の向上を考えた際, 漠然と問題点を捉えるより具現化された問題に対して具体的な対策を講じることが効果的である. したがって, クリニカルパスで生じた予測された経過や結果と異なる事象(以後, ヴァリアンスと記す)や逸脱症例を分析して改訂を行うことが, 直ちに医療安全の質向上, すなわち安全管理(以後, リスクマネージメントと記す)につながると考えられる. そこで私たちは, 1999年9月1日から導入した顎矯正手術のクリニカルパスを提示するとともに, ヴァリアンスなどの分析から改訂を重ね, 現在使用しているパスに至る変遷を紹介する.
ISSN:0916-7048
1884-5045
DOI:10.5927/jjjd1991.18.1