肺アスペルギルス症の発症リスクコントロール要因 入院環境と抗真菌剤選択の重要性

[はじめに] 近年, 優れた抗生剤, 抗真菌剤の登場により, 易感染患者に対する感染症の予防や治療が飛躍的に進歩している. しかし, 依然として, 入院中に感染症が原因となり, 不幸な転帰をたどる患者も存在している. 特に, 血液内科領域では, 肺アスペルギルス症に代表される深在性真菌症のコントロールが, 患者予後に大きな影響をおよぼしている. 血液内科領域における深在性真菌症対策は, 適正な抗真菌剤の投与に加え, スタッフ教育, 入院環境の適正化など, 複数の因子を総合的に組み合わせ推進する必要があると考えられる. すでに, 内部環境因子では, アスペルギルス感染症対策として, HEPAフィ...

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Published in医療薬学 Vol. 33; no. 2; pp. 107 - 113
Main Authors 小林, 光, 河野, 健治, 笹木, 睦子, 太田, 伸, 大和, 進, 下枝, 貞彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2007
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.33.107

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Summary:[はじめに] 近年, 優れた抗生剤, 抗真菌剤の登場により, 易感染患者に対する感染症の予防や治療が飛躍的に進歩している. しかし, 依然として, 入院中に感染症が原因となり, 不幸な転帰をたどる患者も存在している. 特に, 血液内科領域では, 肺アスペルギルス症に代表される深在性真菌症のコントロールが, 患者予後に大きな影響をおよぼしている. 血液内科領域における深在性真菌症対策は, 適正な抗真菌剤の投与に加え, スタッフ教育, 入院環境の適正化など, 複数の因子を総合的に組み合わせ推進する必要があると考えられる. すでに, 内部環境因子では, アスペルギルス感染症対策として, HEPAフィルター(high efficiency particulate air filter)設置の有用性が確立されている1). 一方, 外部環境因子がアスペルギルス感染症に与える影響として, 病院建物の改装工事や建築工事など, 粉塵が舞い上がりやすい環境下で発症数が増大するとの報告があり, 注意が必要である2-5). また, 高温度, 高湿度の室内環境と, 真菌アレルゲンとの強い因果関係を示した報告があることから6), 深在性真菌症の予防には, 病棟内における温度, ならびに湿度の管理が重要であることが示唆される.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.33.107