ロピバカインとフェンタニル硬膜外投与の術後疼痛管理 肝機能に応じた鎮痛薬用量設定の必要性

「緒言」周術期の患者管理において, 術後の鎮痛処置は患者の苦痛を和らげるという目的のみならず, 術後合併症の防止, 早期離床の目的においても極めて重要である. なかでも上腹部開腹術は, 広範囲の手術侵襲であることや呼吸運動による反復刺激のため, 術後痛が強く頻回の鎮痛薬投与を必要とする. さまざまな術後の鎮痛処置の中で局所麻酔薬とフェンタニルによるPatient Controlled Epidural Analgesia(以下, PCAと略す)は, QOLの高い術後の鎮痛処置を施すことができるといわれている1). 一方で, PCAは, モニター監視と麻酔科医の管理下にある手術室の回復室と異なり...

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Published in医療薬学 Vol. 34; no. 2; pp. 181 - 186
Main Authors 安田, 季道, 河本, 昌志, 畝井, 浩子, 佐伯, 康之, 木平, 健治, 柴田, ゆうか, 藤田, 啓子, 池田, 博昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2008
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.34.181

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Summary:「緒言」周術期の患者管理において, 術後の鎮痛処置は患者の苦痛を和らげるという目的のみならず, 術後合併症の防止, 早期離床の目的においても極めて重要である. なかでも上腹部開腹術は, 広範囲の手術侵襲であることや呼吸運動による反復刺激のため, 術後痛が強く頻回の鎮痛薬投与を必要とする. さまざまな術後の鎮痛処置の中で局所麻酔薬とフェンタニルによるPatient Controlled Epidural Analgesia(以下, PCAと略す)は, QOLの高い術後の鎮痛処置を施すことができるといわれている1). 一方で, PCAは, モニター監視と麻酔科医の管理下にある手術室の回復室と異なり, 一般病棟でスタッフの管理下にあることから, 過量投与による血圧低下, 呼吸抑制の発現を考慮して薬液投与量が少なく設定されがちで手術後の十分な鎮痛が得られていない傾向がある2). 術後痛研究会をはじめとして, PCAの薬液投与量を設定する際は, 通常, 胃切除術と肝切除術を区別することなく上腹部開腹手術として扱っている3). この扱いは, 胃切除術と肝切除術の痛みの程度が同一であることを前提にしているためで, それらを区別した投与設定を検討した報告はない. 本研究では, 投与量設定基準が同一の胃切除術と肝切除術後のPCAによる鎮痛の管理状況を, Visual Analogue Scale(以下, VASと略す)およびPrince Henry Score(以下, PHSと略す)を指標として検討した.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.34.181