調理用鍋から溶出される微量元素 ホウロウ製鍋について誘導結合プラズマ-質量分析法を用いた分析

「緒言」 生体内には多種の元素がさまざまな濃度で存在しており, その中で体内貯蔵量が鉄よりも少ないものが微量元素とされている(1). ヒトの健康に影響を与える金属・元素の研究は, 主として環境汚染や中毒学の分野において先行していたが, 近年微量元素の生理作用についても多くの研究で明らかにされつつあり, 微量元素の欠乏症および過剰症も多く知られている(2-6). 生体内微量元素の濃度は, 主に食品摂取や環境など多種の要因により影響を受けて変化する. 食事時の経口摂取では, 食品そのものに限らず調理器具に由来することがある. 日常の食品調理において, 金属鍋は最も広く使用されており, 調理中にこれ...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 66; no. 3; pp. 600 - 607
Main Authors 加納, 克己, 後藤, 政幸, 浅野, 優, 間中, 友美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 2011
日本衛生学会
Subjects
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.66.600

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Summary:「緒言」 生体内には多種の元素がさまざまな濃度で存在しており, その中で体内貯蔵量が鉄よりも少ないものが微量元素とされている(1). ヒトの健康に影響を与える金属・元素の研究は, 主として環境汚染や中毒学の分野において先行していたが, 近年微量元素の生理作用についても多くの研究で明らかにされつつあり, 微量元素の欠乏症および過剰症も多く知られている(2-6). 生体内微量元素の濃度は, 主に食品摂取や環境など多種の要因により影響を受けて変化する. 食事時の経口摂取では, 食品そのものに限らず調理器具に由来することがある. 日常の食品調理において, 金属鍋は最も広く使用されており, 調理中にこれらの鍋の素材中に含有される多種の微量元素が溶出することが考えられる. わが国では食品衛生法の下, 「器具および容器包装の規格基準」(平成20年7月31日改正)が設定され, ガラス製, 陶磁器製, ホウロウ引き器具について, カドミウムと鉛の溶出基準が規定されている(7).
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.66.600