大都市における緑地整備の現状と課題に関する実証的研究(1) : 札幌市における都市公園整備の歴史的分析

近年,住環境の改善及び防災上の観点から,都市域における緑地整備の必要性が改めて強く認識されるようになってきた。本研究では,札幌市における都市公園整備の歴史的分析を通じて,急激に都市開発が行われた地域における緑地整備の問題点を明らかにすることを課題とした。その結果,札幌市では特に小面積の公園用地が大量に確保され,画一的な街区公園が造成されてきたため,公園の整備が必ずしも緑の保全に結びついていないという実態が明らかになった。その原因は,緑化行政部門の権限と予算が十分でなく,用地買収や区画整理による公園用地の確保が都市域の急激な拡大に追いつかなかったことと,公園用地の確保が開発許可制度に依存して進め...

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Published in林業経済研究 Vol. 44; no. 2; pp. 55 - 60
Main Authors 石井, 寛, 坂田, 拓郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 林業経済学会 01.10.1998
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ISSN0285-1598
2424-2454
DOI10.20818/jfe.44.2_55

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Summary:近年,住環境の改善及び防災上の観点から,都市域における緑地整備の必要性が改めて強く認識されるようになってきた。本研究では,札幌市における都市公園整備の歴史的分析を通じて,急激に都市開発が行われた地域における緑地整備の問題点を明らかにすることを課題とした。その結果,札幌市では特に小面積の公園用地が大量に確保され,画一的な街区公園が造成されてきたため,公園の整備が必ずしも緑の保全に結びついていないという実態が明らかになった。その原因は,緑化行政部門の権限と予算が十分でなく,用地買収や区画整理による公園用地の確保が都市域の急激な拡大に追いつかなかったことと,公園用地の確保が開発許可制度に依存して進められたことによると考えられた。開発許可制度は量的側面からは緑地整備に大きく貢献したが,各緑地がネットワークを形成し,有機的に機能するような整備を実現する上では欠陥があり,これを補完するためには,現在の都市計画体系において欠けている近隣住区に対応する空間スケールの都市計画手法の積極的な活用が望まれる。
ISSN:0285-1598
2424-2454
DOI:10.20818/jfe.44.2_55