アトピー性皮膚炎患者の好酸球比重分布に及ぼすketotifenの影響

アトピー性皮膚炎(AD)患者では臨床症状の悪化に伴い好酸球増多が認められることはよく知られている1)が, 本疾患における好酸球増多の意義について検討した報告は少ない. 筆者らは抗アレルギー剤であるketotifen(KF)が末梢血好酸球減少効果を有し, その効果がアレルギー性疾患の臨床症状改善と相関する2)という報告に注目し, AD患者のKF投与前後における末梢血好酸球の数的動態変化, 好酸球比重分布測定および形態学的検索によって好酸球増多の意義の究明を試みた. 材料と方法 Hanifinのcriteria3)に従って診断した13歳から22歳までの成人型AD患者で, すくなくとも1ヵ月以上治療...

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Published in炎症 Vol. 8; no. 3; pp. 260 - 262
Main Authors 津田, 眞五, 笠田, 守, 笹井, 陽一郎, 宮里, 稔, 井料, 香代子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本炎症・再生医学会 01.05.1988
日本炎症学会
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ISSN0389-4290
1884-4006
DOI10.2492/jsir1981.8.260

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Summary:アトピー性皮膚炎(AD)患者では臨床症状の悪化に伴い好酸球増多が認められることはよく知られている1)が, 本疾患における好酸球増多の意義について検討した報告は少ない. 筆者らは抗アレルギー剤であるketotifen(KF)が末梢血好酸球減少効果を有し, その効果がアレルギー性疾患の臨床症状改善と相関する2)という報告に注目し, AD患者のKF投与前後における末梢血好酸球の数的動態変化, 好酸球比重分布測定および形態学的検索によって好酸球増多の意義の究明を試みた. 材料と方法 Hanifinのcriteria3)に従って診断した13歳から22歳までの成人型AD患者で, すくなくとも1ヵ月以上治療歴のない12人と健常者10人を対象とした. KF 1mg, b.i.d.投与群6人, clemastine fumarate(CF)1mg, b.i.d.投与群6人とし, おのおの2週間服用させ, 投与前後に静脈血20mlを採血し, 白血球数, IgE, IgG, IgM, IgAおよび好酸球比重分布測定を行った. 比重分布は既報の比重勾配法にて測定した4). また各比重ごとに分画した好酸球の電顕標本は常法に従って作成した.
ISSN:0389-4290
1884-4006
DOI:10.2492/jsir1981.8.260