小児の舌内に偏在性に発生した甲状舌管嚢胞の1例
「緒言」甲状舌管嚢胞は胎生期における甲状舌管の遺残組織に由来する先天性嚢胞である. 解剖学的には, 舌盲孔から胸骨上窩に及ぶあらゆる部位に発生するとされているが1), その好発部位は舌骨下であり, 舌内に発生することはまれである. 今回われわれは, 小児の舌内に偏在性に生じた甲状舌管嚢胞の1例を経験したので概要を報告する. 症例 患者:5歳, 女児. 初診:2000年10月16日. 主訴:舌の腫脹. 既往歴・家族歴:特記事項なし. 現病歴:2週間前に母親が舌の腫脹に気づき当科を受診した. 現症:左側舌縁から口底部にかけて, 3×3cm大の粘膜色で境界明瞭な弾性軟の腫瘤を認めた. また, 舌は上...
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| Published in | 小児口腔外科 Vol. 17; no. 1; pp. 44 - 46 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本小児口腔外科学会
25.06.2007
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0917-5261 1884-6661 |
| DOI | 10.11265/poms1991.17.44 |
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| Summary: | 「緒言」甲状舌管嚢胞は胎生期における甲状舌管の遺残組織に由来する先天性嚢胞である. 解剖学的には, 舌盲孔から胸骨上窩に及ぶあらゆる部位に発生するとされているが1), その好発部位は舌骨下であり, 舌内に発生することはまれである. 今回われわれは, 小児の舌内に偏在性に生じた甲状舌管嚢胞の1例を経験したので概要を報告する. 症例 患者:5歳, 女児. 初診:2000年10月16日. 主訴:舌の腫脹. 既往歴・家族歴:特記事項なし. 現病歴:2週間前に母親が舌の腫脹に気づき当科を受診した. 現症:左側舌縁から口底部にかけて, 3×3cm大の粘膜色で境界明瞭な弾性軟の腫瘤を認めた. また, 舌は上方に挙上されていたが, 内容物が透けてみえることはなかった(写真1). CT所見:左側舌内に径3cmの境界明瞭な腫瘤を認めた. 内部は均一なwater densityを呈していた(写真2). 臨床診断:舌嚢胞性疾患. 処置および経過:当初は両親が手術を希望しなかったため経過観察していたが, 初診から半年経過した頃より腫瘤は4×4cm大に増大し, 睡眠時のいびきと呼吸苦を訴えるようになったため, 2001年6月1日, 全身麻酔下に嚢胞摘出術を行った. |
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| ISSN: | 0917-5261 1884-6661 |
| DOI: | 10.11265/poms1991.17.44 |