肩関節周囲炎後例における肩峰骨頭間距離と肩関節可動域制限の関連についての検討 関節裂隙距離の定量化と機能的意義

【目的】肩峰骨頭間距離(AHI)は,腱板断裂の診断のために使用される指標である。我々は,肩関節周囲炎後に肩関節痛と関節可動域制限をきたした症例におけるAHI測定の有効性を検討するために,AHIを測定し,AHIと肩関節可動域制限との関連について検討をした。【方法】対象は肩関節周囲炎発症後に肩関節可動域制限を呈し治療中の症例で,片側羅患例15例15肩であった。対象の両肩関節可動域と,肩関節X線正面像からAHIとAHIの上腕骨頭最大径比(A/H比)を測定し,肩関節可動域とAHI・A/H比の相関関係を検討した(p < 0.05)。【結果】対象の患側肩関節におけるAHIを測定した結果,AHIは9....

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Published in理学療法学 Vol. 37; no. 3; pp. 174 - 177
Main Authors 山本, 和良, 荒井, 哉美, 井上, 宜充, 岡本, 賢太郎, 安保, 麻美, 田村, 拓也, 川, 桃子, 久合田, 浩幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士学会 20.06.2010
日本理学療法士協会
Subjects
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ISSN0289-3770
2189-602X
DOI10.15063/rigaku.KJ00006485349

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Summary:【目的】肩峰骨頭間距離(AHI)は,腱板断裂の診断のために使用される指標である。我々は,肩関節周囲炎後に肩関節痛と関節可動域制限をきたした症例におけるAHI測定の有効性を検討するために,AHIを測定し,AHIと肩関節可動域制限との関連について検討をした。【方法】対象は肩関節周囲炎発症後に肩関節可動域制限を呈し治療中の症例で,片側羅患例15例15肩であった。対象の両肩関節可動域と,肩関節X線正面像からAHIとAHIの上腕骨頭最大径比(A/H比)を測定し,肩関節可動域とAHI・A/H比の相関関係を検討した(p < 0.05)。【結果】対象の患側肩関節におけるAHIを測定した結果,AHIは9.6 ± 2.6 mmであった。また,患側A/H比と肩関節屈曲・外転角度健患差との間に負の相関を認めた。【結論】肩峰下面と骨頭間には第2肩関節が存在し,上肢の挙上動作時には,上腕骨頭が肩峰の下方に取り込まれる必要がある。AHIは第2肩関節の上方部分の裂隙距離を測定するに等しく,正常可動域を獲得するためには,上腕骨頭を取り込むための十分なAHIの広さが必要であると考えた。今回の研究から,肩関節周囲炎発症後に関節可動域制限を呈した症例ではA/H比測定には機能的意義があることが示唆された。
ISSN:0289-3770
2189-602X
DOI:10.15063/rigaku.KJ00006485349