自動運転の倫理に関する ISO39003の分析と自動運転レベル4への応用可能性

本稿は、自動運転レベル5(完全無人運転)の倫理に関する ISO39003の策定経緯を紐解き、自動運転のシステムに必要な倫理的配慮事項について考察を行う。その上で、ドイツの倫理規則との異同、およびわが国の刑事裁判において、刑法上の過失の注意義務を定める際にJIS規格が参照された事案を検討する。JIS規格を注意義務において参照するための要件が、業界における「共通認識性」と「定着性」であると結論づけ、JIS規格とISOの関連、そして、自動運転レベル4と5の共通性に鑑みて、ISO39003の普及と国内での運用次第では、刑事裁判においてISO39003が参照され得るとの帰結を得る。...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published inIATSS Review(国際交通安全学会誌) Vol. 48; no. 2; pp. 132 - 140
Main Author 樋笠, 尭士
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 国際交通安全学会 31.10.2023
Online AccessGet full text
ISSN0386-1104
2433-4537
DOI10.24572/iatssreview.48.2_132

Cover

More Information
Summary:本稿は、自動運転レベル5(完全無人運転)の倫理に関する ISO39003の策定経緯を紐解き、自動運転のシステムに必要な倫理的配慮事項について考察を行う。その上で、ドイツの倫理規則との異同、およびわが国の刑事裁判において、刑法上の過失の注意義務を定める際にJIS規格が参照された事案を検討する。JIS規格を注意義務において参照するための要件が、業界における「共通認識性」と「定着性」であると結論づけ、JIS規格とISOの関連、そして、自動運転レベル4と5の共通性に鑑みて、ISO39003の普及と国内での運用次第では、刑事裁判においてISO39003が参照され得るとの帰結を得る。
ISSN:0386-1104
2433-4537
DOI:10.24572/iatssreview.48.2_132