シスプラチンによる悪心·嘔吐に対するクロキサゾラムの予防効果 プラセボを用いた無作為化二重盲検比較試験

「緒言」 現在, 肺がん化学療法時に発現する悪心・嘔吐に対して, 5-HT3受容体拮抗剤とステロイドの併用投与が標準治療として確立しつつある1). しかし, 悪心・嘔吐のハイリスク薬剤として代表的なシスプラチン(以下, CDDPと略す)の投与に際しては, 依然として完全に制御するにはいたっていない. 特に投与24時間以降に発現する遅延性悪心・嘔吐は, 数日間にわたって症状が遷延し患者のQOLを低下させ, 治療継続の妨げとなることがある. 遅延性悪心・嘔吐は急性悪心・嘔吐や予測性悪心・嘔吐が複合した状態で, 不安や抑うつといった精神的因子が関与していると考えられており, 全般的な悪心・嘔吐の抑制...

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Published in医療薬学 Vol. 35; no. 5; pp. 316 - 324
Main Authors 久田, 達也, 島, 浩一郎, 後藤, 康洋, 牛膓, 沙織, 楠瀬, 公章, 山本, 雅史, 行田, 峰久, 吉田, 健也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2009
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.35.316

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Summary:「緒言」 現在, 肺がん化学療法時に発現する悪心・嘔吐に対して, 5-HT3受容体拮抗剤とステロイドの併用投与が標準治療として確立しつつある1). しかし, 悪心・嘔吐のハイリスク薬剤として代表的なシスプラチン(以下, CDDPと略す)の投与に際しては, 依然として完全に制御するにはいたっていない. 特に投与24時間以降に発現する遅延性悪心・嘔吐は, 数日間にわたって症状が遷延し患者のQOLを低下させ, 治療継続の妨げとなることがある. 遅延性悪心・嘔吐は急性悪心・嘔吐や予測性悪心・嘔吐が複合した状態で, 不安や抑うつといった精神的因子が関与していると考えられており, 全般的な悪心・嘔吐の抑制に抗不安薬の併用の有効性が期待されている2-5). 米国臨床腫瘍学会(American Society of Clinical Oncology:ASCO)による制吐剤のガイドラインでは, 標準的な制吐療法に不応であった場合, ロラゼパム6-10)またはアルプラゾラム11,12)などの抗不安薬の追加投与が選択肢として挙げられている1).
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.35.316