遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤の出血性病態への応用 理論と科学的実践
遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤(eptacog alpha activated, recombinant, rFVIIa)の薬理作用を細胞依存型凝固反応モデルに準拠して解説し,インヒビター獲得血友病と後天性血液凝固インヒビターへの臨床適応上の効能・効果と副作用を述べた。この基本的理解に立脚して,現在,世界中で行われているrFVIIaの出血性病態に対する適応外使用の実態を俯瞰し,現時点での科学的根拠に基づいたrFVIIaの具体的臨床応用を概説した。大量出血は致死性病態であり,rFVIIaの使用前に応用可能な全ての方法を用いて止血を試みるべきである。現在,鈍的外傷,心臓手術後,分娩後の...
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Published in | 日本集中治療医学会雑誌 Vol. 15; no. 3; pp. 279 - 290 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本集中治療医学会
01.07.2008
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Subjects | |
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ISSN | 1340-7988 1882-966X |
DOI | 10.3918/jsicm.15.279 |
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Summary: | 遺伝子組換え活性型血液凝固第VII因子製剤(eptacog alpha activated, recombinant, rFVIIa)の薬理作用を細胞依存型凝固反応モデルに準拠して解説し,インヒビター獲得血友病と後天性血液凝固インヒビターへの臨床適応上の効能・効果と副作用を述べた。この基本的理解に立脚して,現在,世界中で行われているrFVIIaの出血性病態に対する適応外使用の実態を俯瞰し,現時点での科学的根拠に基づいたrFVIIaの具体的臨床応用を概説した。大量出血は致死性病態であり,rFVIIaの使用前に応用可能な全ての方法を用いて止血を試みるべきである。現在,鈍的外傷,心臓手術後,分娩後の大量出血の止血,急性期脳内出血の止血等に,推奨度の相違はあるが,rFVIIaの使用が試みられている。しかし,鋭的外傷,定期外科手術,肝臓外科手術,肝硬変症例の出血に対して止血あるいはその予防目的でrFVIIaを使用することは推奨されない。rFVIIaの止血効果を判定する適切な指標がないため,その効果は必要輸血量で判断し,実際に目視確認すべきである。頻度は多くはないが,rFVIIaの使用に際しては血栓性副作用の発現に十分の注意が必要である。 |
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ISSN: | 1340-7988 1882-966X |
DOI: | 10.3918/jsicm.15.279 |