発症から急死まで21年間の経過を観察し得た混合性結合組織病(MCTD)の1剖検例
MCTDは肺高血圧症の合併が無ければ、一般に予後の良い膠原病と言われる。また一種の膠原病重複症候群でもある本疾患で種々膠原病の諸症状の消長、移行を長期間観察し得ることは、異論もあるこの疾患単位を認識しなおす上で非常に意義深い。今回我々はこうした疑問に考察を与え得る症例を経験したので文献的考察を加え呈示したい。症例は36歳女性。15歳時レイノー症状にて発症、ステロイド内服加療を開始した。SLE(蝶形紅斑、関節痛、低補体血症)、多発性筋炎(筋力低下、筋原性酵素上昇)、強皮症(レイノー症状、皮膚硬化、指端壊疽)が出現し、抗RNP抗体陽性よりMCTDと診断した。22歳頃より皮膚潰瘍出現。32歳頃より特...
Saved in:
Published in | Nihon Rinsho Men'eki Gakkai Sokai Shorokushu Vol. 33; p. 109 |
---|---|
Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床免疫学会
2005
The Japan Society for Clinical Immunology |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-3296 |
DOI | 10.14906/jscisho.33.0.109.0 |
Cover
Summary: | MCTDは肺高血圧症の合併が無ければ、一般に予後の良い膠原病と言われる。また一種の膠原病重複症候群でもある本疾患で種々膠原病の諸症状の消長、移行を長期間観察し得ることは、異論もあるこの疾患単位を認識しなおす上で非常に意義深い。今回我々はこうした疑問に考察を与え得る症例を経験したので文献的考察を加え呈示したい。症例は36歳女性。15歳時レイノー症状にて発症、ステロイド内服加療を開始した。SLE(蝶形紅斑、関節痛、低補体血症)、多発性筋炎(筋力低下、筋原性酵素上昇)、強皮症(レイノー症状、皮膚硬化、指端壊疽)が出現し、抗RNP抗体陽性よりMCTDと診断した。22歳頃より皮膚潰瘍出現。32歳頃より特に冬季に指端壊疽が強くなり、手指断端形成術、頻回の創部処置などを行った。平成16年10月(36歳)左S1にBOOP様肺炎を認めたが、自然軽快した。平成17年3月(36歳)38℃台の発熱、上気道炎症状、指端壊疽の増悪にて入院。レイノー症状強く、指端壊疽は急速に進行し、両側環指切断術が必要となった。入院時は胸部CT上軽度の間質性肺炎像のみであったが、4月下旬には右肺S1にBOOP様肺炎、炎症反応上昇を認め、種々の抗生剤投与では一時的な軽快のみで再び増悪するという経過であった。呼吸状態は酸素投与無しにて安定していたが、5月上旬深夜より突如呼吸困難が出現し、胸部レントゲン写真上両側に鬱血像を認め、呼吸不全に至り、翌早朝死亡された。 |
---|---|
Bibliography: | 12-6 |
ISSN: | 1880-3296 |
DOI: | 10.14906/jscisho.33.0.109.0 |