中小企業における統合報告書の意義

サステナビリティ重視の今日,中小企業でも大企業から取引条件としてサステナビリティ情報の開示が求められている。このような環境下で,文献研究を中心に中小企業の統合報告書の意義を検討する。文献研究により,統合報告書作成の意義は,ステークホルダーへの情報開示目的と経営者の情報利用目的に区分できる。ステークホルダーへの情報開示目的では,大企業からのCSR 情報要求,ステークホルダーからの信頼・評判・認知度の向上,レピュテーションリスクの軽減,借入のしやすさ,金利引き下げがある。一方,経営者の情報利用目的としては,戦略的意思決定やリスクマネジメントの向上,マネジメント利用で,戦略修正,従業員のモチベーショ...

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Published in中小企業会計研究 Vol. 2024; no. 10; pp. 38 - 49
Main Author 伊藤, 和憲
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 中小企業会計学会 2024
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ISSN2189-650X
2435-8789
DOI10.34576/jarsmes.2024.10_38

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Summary:サステナビリティ重視の今日,中小企業でも大企業から取引条件としてサステナビリティ情報の開示が求められている。このような環境下で,文献研究を中心に中小企業の統合報告書の意義を検討する。文献研究により,統合報告書作成の意義は,ステークホルダーへの情報開示目的と経営者の情報利用目的に区分できる。ステークホルダーへの情報開示目的では,大企業からのCSR 情報要求,ステークホルダーからの信頼・評判・認知度の向上,レピュテーションリスクの軽減,借入のしやすさ,金利引き下げがある。一方,経営者の情報利用目的としては,戦略的意思決定やリスクマネジメントの向上,マネジメント利用で,戦略修正,従業員のモチベーション向上,意識向上の組織文化の形成,組織変革がある。イタリアの事例研究を題材に,これらの意義を検討する。同時に,統合報告書の作成が日本の中小企業の経営課題に効果的であることを明らかにする。
ISSN:2189-650X
2435-8789
DOI:10.34576/jarsmes.2024.10_38