中学校社会科教師の教科観の形成に関する事例研究 ― 教科観形成の多層性と多面性に注目して

本稿は,中学校社会科教師がどのような教科観・授業観を保有しているのか,教師へのインタビュー調査によって明らかにすることを目的とする。 本稿ではまず5名の教師へ教科観に関するインタビュー調査を行った。そして得られたデータを分析した結果,これらの教師の教科観の語りは,三つの視点から捉えられることが明らかになった。 調査した5名の教師の教科観についての語りは,大きく二つに分けることができた。第一は,これら三つの視点から捉えられる内容を語りに全て含むグループであり,このグループの教師の教科観は三種の内容から構成される多層的なものであった。第二は,望ましい生徒像と社会科授業らしい内容や方法の2つの視点か...

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Published in社会科研究 Vol. 88; pp. 13 - 24
Main Author 岡島, 春恵
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 全国社会科教育学会 31.03.2018
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ISSN0289-856X
2432-9142
DOI10.20799/jerasskenkyu.88.0_13

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Summary:本稿は,中学校社会科教師がどのような教科観・授業観を保有しているのか,教師へのインタビュー調査によって明らかにすることを目的とする。 本稿ではまず5名の教師へ教科観に関するインタビュー調査を行った。そして得られたデータを分析した結果,これらの教師の教科観の語りは,三つの視点から捉えられることが明らかになった。 調査した5名の教師の教科観についての語りは,大きく二つに分けることができた。第一は,これら三つの視点から捉えられる内容を語りに全て含むグループであり,このグループの教師の教科観は三種の内容から構成される多層的なものであった。第二は,望ましい生徒像と社会科授業らしい内容や方法の2つの視点から捉えられる内容のみを語りに含むグループである。このグループの教師の教科観は,望ましい生徒像を社会科という教科だけではなく,学校での他の教育活動とも密接に関連付ける多領域に渡る多面的なものとなっていた。本稿では,これらの語りの特徴を明らかにしたうえで,その形成過程を推測し,本研究の成果が示す教員研修のあり方に対する示唆を提示した。
ISSN:0289-856X
2432-9142
DOI:10.20799/jerasskenkyu.88.0_13