腎機能障害を伴う高齢末期心不全患者の呼吸困難をオキシコドン高用量とミダゾラムで緩和した1症例

緒言:腎機能障害を伴う高齢末期心不全患者の呼吸困難を,オキシコドン高用量とミダゾラムで緩和した症例を経験したので報告する.症例:91歳,女性,7年前から重症大動脈弁狭窄症を原因とする心不全の治療を受けていた.今回完全房室ブロックを契機とする慢性心不全の急性増悪のため,1年で2回目の入院となった.ペースメーカーの留置,酸素投与,ドブタミンの投与を受けたが呼吸困難は続いた.腎機能障害があり,呼吸困難をオキシコドン持続皮下注7.2 mg/日で緩和した.その後も心不全の再増悪による呼吸困難の増強に応じて,オキシコドン持続皮下注を48 mg/日まで漸増し,ミダゾラムも併用して呼吸困難を緩和した.考察:腎...

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Published in日本老年医学会雑誌 Vol. 60; no. 3; pp. 301 - 306
Main Authors 齊藤, 英一, 眞野, 暁子, 長澤, 陽子, 小西, 治子, 松井, 仁美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本老年医学会 25.07.2023
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ISSN0300-9173
DOI10.3143/geriatrics.60.301

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Summary:緒言:腎機能障害を伴う高齢末期心不全患者の呼吸困難を,オキシコドン高用量とミダゾラムで緩和した症例を経験したので報告する.症例:91歳,女性,7年前から重症大動脈弁狭窄症を原因とする心不全の治療を受けていた.今回完全房室ブロックを契機とする慢性心不全の急性増悪のため,1年で2回目の入院となった.ペースメーカーの留置,酸素投与,ドブタミンの投与を受けたが呼吸困難は続いた.腎機能障害があり,呼吸困難をオキシコドン持続皮下注7.2 mg/日で緩和した.その後も心不全の再増悪による呼吸困難の増強に応じて,オキシコドン持続皮下注を48 mg/日まで漸増し,ミダゾラムも併用して呼吸困難を緩和した.考察:腎機能障害を伴う高齢末期心不全患者において,呼吸困難の緩和にオキシコドンは一定の効果を認め,慎重な観察の下に増量できる可能性がある.またミダゾラムの併用も有効である可能性がある.
ISSN:0300-9173
DOI:10.3143/geriatrics.60.301