口腔粘膜に症状を呈し75歳で診断された遺伝性出血性毛細血管拡張症の1例
遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasis, Rendu-Osler-Weber病:HHT)は常染色体優性遺伝の疾患で家族性に発症し,口腔,手指,鼻,耳,眼瞼結膜などに生じる多発性の毛細血管拡張や反復性の鼻出血を主徴とするまれな疾患で,難病指定されている.今回われわれは,口腔粘膜に症状を呈し75歳で初めて診断されたHHTの症例を経験したので報告する.患者は75歳の女性で,舌,硬口蓋,口唇,および口腔粘膜の点状紅斑のために来科した.舌の病変の生検の結果,拡張した毛細血管がみられ,免疫染色で血管内皮細胞はCD31,第Ⅷ因子に陽性,血管平滑...
Saved in:
Published in | 昭和学士会雑誌 Vol. 81; no. 3; pp. 266 - 271 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
昭和大学学士会
2021
|
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 2187-719X 2188-529X |
DOI | 10.14930/jshowaunivsoc.81.266 |
Cover
Summary: | 遺伝性出血性毛細血管拡張症(hereditary hemorrhagic telangiectasis, Rendu-Osler-Weber病:HHT)は常染色体優性遺伝の疾患で家族性に発症し,口腔,手指,鼻,耳,眼瞼結膜などに生じる多発性の毛細血管拡張や反復性の鼻出血を主徴とするまれな疾患で,難病指定されている.今回われわれは,口腔粘膜に症状を呈し75歳で初めて診断されたHHTの症例を経験したので報告する.患者は75歳の女性で,舌,硬口蓋,口唇,および口腔粘膜の点状紅斑のために来科した.舌の病変の生検の結果,拡張した毛細血管がみられ,免疫染色で血管内皮細胞はCD31,第Ⅷ因子に陽性,血管平滑筋細胞はSMAに陽性で,病理学的診断は平坦な血管内皮細胞が並ぶ拡張した毛細血管であった.この疾患について多くは医科からで,歯科からの報告は少ない.歯科医師は口腔内を診断・治療するため,この疾患について注意するべきである. |
---|---|
ISSN: | 2187-719X 2188-529X |
DOI: | 10.14930/jshowaunivsoc.81.266 |