味刺激が成人の下行性痛覚調節系に及ぼす影響

本研究は甘味刺激による穿刺痛への鎮痛効果と下行性痛覚調節系に及ぼす影響を明らかにするため,Singlemasked blind による無作為化比較試験で検証した。実験は健康成人12名を対象に,24 %蔗糖水と蒸留水(control)の2つを準備し,クロスオーバーデザインによって被験者に無作為に割り付けた。指標には血清セロトニン,尿中セロトニン代謝物質,唾液中α-アミラーゼ,Profile of mood states,痛覚強度と味の心地よさの各主観的評価を採用して,甘味による鎮痛効果と下行性疼痛抑制系への影響を多角的に検討した。  しかしながら,甘味刺激による穿刺痛への効果と下行性疼痛抑制系へ...

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Bibliographic Details
Published in日本看護研究学会雑誌 Vol. 34; no. 2; pp. 2_163 - 2_170
Main Author 掛田, 崇寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本看護研究学会 2011
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ISSN2188-3599
2189-6100
DOI10.15065/jjsnr.20110411015

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Summary:本研究は甘味刺激による穿刺痛への鎮痛効果と下行性痛覚調節系に及ぼす影響を明らかにするため,Singlemasked blind による無作為化比較試験で検証した。実験は健康成人12名を対象に,24 %蔗糖水と蒸留水(control)の2つを準備し,クロスオーバーデザインによって被験者に無作為に割り付けた。指標には血清セロトニン,尿中セロトニン代謝物質,唾液中α-アミラーゼ,Profile of mood states,痛覚強度と味の心地よさの各主観的評価を採用して,甘味による鎮痛効果と下行性疼痛抑制系への影響を多角的に検討した。  しかしながら,甘味刺激による穿刺痛への効果と下行性疼痛抑制系への賦活作用については,いずれも実証することはできなかった。ただし,甘味刺激下では無味に比べて穿刺痛の痛覚強度や唾液中α-アミラーゼ値がいずれも低値になるだけでなく,Profile of mood states や溶液の味の心地よさの各評価に関してはポジティブな情動的変化がもたらされた。よって,限定的ではあるものの,甘味刺激は成人の痛覚受容を抑制的に修飾する可能性がある。
ISSN:2188-3599
2189-6100
DOI:10.15065/jjsnr.20110411015