機能性便秘症を伴う下部尿路障害を有する小児における腸内細菌叢の検討

ヒトの腸管内には多くの細菌が生息しており腸内細菌叢を形成している.近年,腸内細菌叢の変化とさまざまな疾患との関係性が報告されている.今回,われわれは機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児における腸内細菌叢の分布を調査することとした.機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児10名(男児8例女児2例,平均年齢8.1歳)と健常児10名(男児10名,平均年齢7.1歳)の腸内細菌を検索した.検索は培養法で行い,4菌種を評価項目とした.その結果,機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児ではClostridium属とLactobacillus属が有意に増加しており(p<0.05),その他の菌種や総菌数では有意差は認めなかっ...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in昭和学士会雑誌 Vol. 81; no. 6; pp. 564 - 570
Main Authors 布山, 正貴, 藤本, 陽子, 小川, 玲, 石川, 琢也, 池田, 裕一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 2022
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN2187-719X
2188-529X
DOI10.14930/jshowaunivsoc.81.564

Cover

More Information
Summary:ヒトの腸管内には多くの細菌が生息しており腸内細菌叢を形成している.近年,腸内細菌叢の変化とさまざまな疾患との関係性が報告されている.今回,われわれは機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児における腸内細菌叢の分布を調査することとした.機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児10名(男児8例女児2例,平均年齢8.1歳)と健常児10名(男児10名,平均年齢7.1歳)の腸内細菌を検索した.検索は培養法で行い,4菌種を評価項目とした.その結果,機能性便秘症を伴う下部尿路障害の児ではClostridium属とLactobacillus属が有意に増加しており(p<0.05),その他の菌種や総菌数では有意差は認めなかった.腸内細菌叢の変化が排尿排便機能に何らかの影響を及ぼしている可能性が示唆され,プロバイオティクスによって基礎疾患とともに下部尿路障害の改善に期待がもたれる.
ISSN:2187-719X
2188-529X
DOI:10.14930/jshowaunivsoc.81.564