唇顎口蓋裂患児を育てる母親の苦悩を緩和させる支援
唇顎口蓋裂をもつ子どもの母親7名を対象に,出産直後から育児や治療に取り組んでいく上での苦悩とその苦悩を緩和させる要因を明らかにするために半構成的面接を行い,逐語録を内容分析して,以下の結果を得た。 (1)母親の苦悩は【出産直後の苦悩】,【子育ての苦悩】,【治療への苦悩】という3つのカテゴリーが抽出され,〈何かあったのではないかと思うこと〉〈早期接触をさせてもらえなかったこと〉〈自分に子どもの情報が与えられなかったこと〉〈他の子どもと区別されたこと〉〈疾患をもって産んでしまった申し訳なさ〉〈外出時に周囲の視線が気になること〉〈上手く授乳ができないこと〉〈手術の不安〉〈治療する子どもをかわいそうと...
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| Published in | 日本口蓋裂学会雑誌 Vol. 35; no. 3; pp. 223 - 229 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本口蓋裂学会
25.10.2010
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI | 10.11224/cleftpalate.35.223 |
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| Summary: | 唇顎口蓋裂をもつ子どもの母親7名を対象に,出産直後から育児や治療に取り組んでいく上での苦悩とその苦悩を緩和させる要因を明らかにするために半構成的面接を行い,逐語録を内容分析して,以下の結果を得た。 (1)母親の苦悩は【出産直後の苦悩】,【子育ての苦悩】,【治療への苦悩】という3つのカテゴリーが抽出され,〈何かあったのではないかと思うこと〉〈早期接触をさせてもらえなかったこと〉〈自分に子どもの情報が与えられなかったこと〉〈他の子どもと区別されたこと〉〈疾患をもって産んでしまった申し訳なさ〉〈外出時に周囲の視線が気になること〉〈上手く授乳ができないこと〉〈手術の不安〉〈治療する子どもをかわいそうと思うこと〉の9つのサブカテゴリーが含まれた。 (2)母親の苦悩を緩和させた要因は【早期接触】,【専門医との連携】,【育児の成功体験】,【ピアサポート】の4つのカテゴリーが抽出され,〈早期接触〉〈専門医からの説明を受けたこと〉〈完治する疾患であると説明されたこと〉〈上手く授乳ができたこと〉〈離乳食が順調に進んだこと〉〈子どもの成長を実感できたこと〉〈同じ疾患をもつ子どもと会ったこと〉,〈母親同士のサポートがあったこと〉の8つのサブカテゴリーから構成された。 唇顎口蓋裂患児を育てる母親の心理面を支える医療者の支援として,(1)唇顎口蓋裂をもった子どもが生まれた場合は,専門医療機関との連携を早い段階で図り,早期に十分な説明を母親が受け,子どもが適切な医療を受けられるようにすること,(2)ピアとの接触が持つ意味を十分に理解し,早期から母親同士の交流の場を提供することが示唆された。 |
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| ISSN: | 0386-5185 2186-5701 |
| DOI: | 10.11224/cleftpalate.35.223 |