全職員に対する救命救急講習の普及に関する一方策
平成16年度より導入された新卒後臨床研修制度の救急医療分野における到達目標の一つとして、研修医は一次救命処置(BLS)を教えることができ、二次救命処置(ACLS)を行うことができるとの項目が挙げられている。従来のACLSコースは概して、長時間に及ぶ講習時間を要するため、土日・祝日に行われていたものが大半であった。しかし、最近の救急医療標準化に伴う流れとして、ACLSやJPTEC・JATECなどの講習会が土日・祝日に重複して予定されているため、各インストラクターの確保が大変困難となっているのが実情である。また、各研修指導病院単独でこれらACLS(ICLS)コースを開催するには、十分な指導者や教育...
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Published in | Nihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 219 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本農村医学会
2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE |
Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1880-1749 1880-1730 |
DOI | 10.14879/nnigss.55.0.219.0 |
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Summary: | 平成16年度より導入された新卒後臨床研修制度の救急医療分野における到達目標の一つとして、研修医は一次救命処置(BLS)を教えることができ、二次救命処置(ACLS)を行うことができるとの項目が挙げられている。従来のACLSコースは概して、長時間に及ぶ講習時間を要するため、土日・祝日に行われていたものが大半であった。しかし、最近の救急医療標準化に伴う流れとして、ACLSやJPTEC・JATECなどの講習会が土日・祝日に重複して予定されているため、各インストラクターの確保が大変困難となっているのが実情である。また、各研修指導病院単独でこれらACLS(ICLS)コースを開催するには、十分な指導者や教育資機材確保などの面でかなり大きな負担を強いられます。これらの問題を解決するために、平成16年5月より毎月平日に講習会を定期開催できるように年間スケジュールを立て、地域消防局と連携して講習会の資機材を借り入れる代わりに、一定の受講生枠を提供して、安定的なICLS講習会を開催してきました。毎回の受講生枠は15人で運用し、研修医・看護師・消防職員が参加します。原則として、研修医・看護師は院内研修の一環として認知され、当日の業務が免除されて参加することが可能となりました。平日に開催することで、救急救命士を中心としたICLS認定インストラクターを確保し易くなり、質の高いICLS講習会の安定的な運営が可能となりました。平成18年4月までに計22回に及ぶICLS講習会を開催し、救急医学会認定ICLSインストラクターも徐々に増え、院内看護師だけでも9名に達しました。加えて、研修医2年次内に毎年院内ACLS委員を数名設定し、年間を通じてインストラクターとしての参加協力が得られるようになりました。奇しくも世界的な心肺蘇生法のガイドラインが2005年度に更新され、日本版のガイドラインも今年4月に公表されたのを受けて医師・看護師を除くすべての院内職員を対象にした一次救命処置(BLS)講習会を開催することになりました。この企画は救命救急センター運営会議主催で、事務局として教育研修センターの方がバックアップをしていただけます。教育スタッフとしては、先に述べた院内における救急医学会認定ICLSインストラクターや研修医2年次の委員、消防本部から派遣して頂く講習に手馴れた救急隊員の方々で運用を考えています。当病院で働く正職員だけでなくすべての準職員・委託職員(業務委託会社職員を含む)について受講を必須としたため、総勢で700名ほどの数に上ります。毎月第4火曜日に3時間ほどの講習会(最大20名/回)を午前・午後の2部制入れ替えで定期的に開催します。概算では約一年半かけて継続すれば、対象とした受講者全部の講習が終了しますが、新規採用者やリフレッシュアップなどを考慮すると、長期的には開催間隔をあけて息の長い講習体制を構築することが必要と思われます。以上の如く、期間は要するものの全職員を挙げて救命救急処置に対する意識改革を推進するためには、平日の日勤帯に職務の一環として定期的に継続して行われる院内救急講習のカリキュラムを作成することが有効であると思います。 |
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Bibliography: | 2D01 |
ISSN: | 1880-1749 1880-1730 |
DOI: | 10.14879/nnigss.55.0.219.0 |