危険予知をみつけて -安全で快適な入浴環境作り

<はじめに> 安城更生病院に併設されている当老健施設では医療安全対策についても病院組織の一員として参加している。毎年医療安全推進月間を設け、統一したテーマで全職員の安全意識の向上を図っているが、2005年度は「危険予知をみつけて」を大きな目標としてかかげ、10の具体的な要点について11月21日から12月22日までの間に各部署で運動を展開した。われわれは安全な介護・療養を提供するため「整えよう診療環境、作りあげよう作業環境」ということで危険予知トレーニングに取り組んだのでこれを報告する。 <実践・結果> 老健スタッフに「どんな時、どんな点、どんな所で危険を感じたか?」と問いかけを行った。総数19...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 226
Main Authors 亀井, 洋子, 石川, 奈帆子, 善, 庄二郎, 林, 琴美, 当山, 清紀, 名倉, 良志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.226.0

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Summary:<はじめに> 安城更生病院に併設されている当老健施設では医療安全対策についても病院組織の一員として参加している。毎年医療安全推進月間を設け、統一したテーマで全職員の安全意識の向上を図っているが、2005年度は「危険予知をみつけて」を大きな目標としてかかげ、10の具体的な要点について11月21日から12月22日までの間に各部署で運動を展開した。われわれは安全な介護・療養を提供するため「整えよう診療環境、作りあげよう作業環境」ということで危険予知トレーニングに取り組んだのでこれを報告する。 <実践・結果> 老健スタッフに「どんな時、どんな点、どんな所で危険を感じたか?」と問いかけを行った。総数197件の意見のうち、44件と指摘のもっとも多かった浴室環境を検討の対象として選んだ。各フロアのショートカンファレンスで、実際の浴室状況を撮影した写真を提示してそれぞれのスタッフが「ここが危険だ!」と判断する点を列挙する方法で危険予知トレーニングを行った。この際、各フロアで実行手順と記録様式を統一し、検討の方向にずれが生じないような進行を図り、1週間連日で実行した。ここから出てきた対策方法を川柳の形式で表し、各フロアの浴室とスタッフがよく目にする所に掲示して常に認識できるようにした。安全推進月間の終了後に各スタッフに対して浴室環境の安全性についての意識調査を行った。デイケア部門では36%、2ヵ所の入所フロアではそれぞれ74%、69%のスタッフで危険要素を早めに見つけて対処することを心掛けるようになったとの意識変化が見られた。カンファレンスでは、川柳にして標語が作ってあるため堅苦しい言葉ではなく利用者が目にしても不快にならず、共に気をつけて安全を守るという意識が持てること、客観的な観察を心がけて危険な点を認識することができるという意見が出た。 <考察> 一般に老健施設内でもっとも多いリスクは転倒・転落といわれており、われわれの施設でのリスクレポートの約8割がこれにあたる。幸い入浴中の大きな事故は起きていないものの浴室は危険性が高い所に変わりはない。自分たちが日常的に業務を行っている場面を写真にして集めることは比較的容易に実施できることである。それらの資料を客観的に見なおし、共同作業で問題点を見つけ出す危険予知トレーニングは転倒予防にも効果があったと思う。話し合いや川柳を掲示した後は、危険予知について認識が高まったが、これを薄れさせないよう常に心掛けていく必要がある。今回の取り組みで挙がった危険因子についての意見を安全でよりよい介護に反映していきたい。
Bibliography:2D08
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.226.0