唾液分泌による口腔環境の改善を目指して

<はじめに>経口摂取困難・長期臥床患者には口腔ケアを行っているが,老化や疾患に伴い口腔内の湿潤は保たれず,口腔内乾燥がみられた。  そこで,口腔ケアに唾液腺刺激を併用することで唾液分泌が促進され,口腔環境が改善するのではないかと考えた。 <研究方法>1.対象者   経口摂取困難で長期臥床の3事例 2.研究期間   平成17年9月17日から平成17年10月4日3.ケア方法 (1)ハチアズレ使用による口腔ケア (2)唾液腺刺激(綿棒を氷水で湿らせ,舌下(唾液腺開口部)を5秒間刺激する) (3)調査方法   ケア開始前・6日後・11日後・23日後に舌苔の有無・pHスティックの湿潤度・pH値・口臭・舌...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 119
Main Authors 小島, 沙織, 平松, 亜紀, 田中, 扶規子, 有川, 良二, 佐藤, 和代, 遠藤, 美緒
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.119.0

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Summary:<はじめに>経口摂取困難・長期臥床患者には口腔ケアを行っているが,老化や疾患に伴い口腔内の湿潤は保たれず,口腔内乾燥がみられた。  そこで,口腔ケアに唾液腺刺激を併用することで唾液分泌が促進され,口腔環境が改善するのではないかと考えた。 <研究方法>1.対象者   経口摂取困難で長期臥床の3事例 2.研究期間   平成17年9月17日から平成17年10月4日3.ケア方法 (1)ハチアズレ使用による口腔ケア (2)唾液腺刺激(綿棒を氷水で湿らせ,舌下(唾液腺開口部)を5秒間刺激する) (3)調査方法   ケア開始前・6日後・11日後・23日後に舌苔の有無・pHスティックの湿潤度・pH値・口臭・舌上細菌検査を用い評価。 <結果および考察>唾液腺刺激を加えた口腔ケアを実施後11日目には、pHスティックの湿潤時間より、3事例とも唾液分泌量が増えた。また、唾液分泌量が増加したことによりPH値も中性に傾いたと考えられる。  藤沢市歯科医師会1)は「唾液には50種類以上の酵素、生理活性因子および免疫抗体などの成分が含まれています。これらの多くの中にはアミラーゼなどの消化酵素、口腔内のある種の細菌を凝集させ歯面からはがれやすくするアグニチンと呼ばれる生理活性因子、細菌を殺す作用を持つペルオキシターゼ、細菌やウイルスに特異的に反応する種々の免疫抗体、などが含まれています。これらの生体を守る多くの物質によって口腔内は正常な環境に維持されます。したがって唾液の分泌を高め、口腔内を正常な状態に保つことが重要です。」と述べている。舌上細菌検査結果では、1事例で常在細菌が増加し病原性細菌が減少した。これは、唾液分泌量増加による口腔内乾燥改善や、自浄作用の効果であると考えられる。また、1事例においてカンジダが消失したのは、唾液量の増加が口腔内の酸性化をおさえた結果であると考えられる。病状悪化のため抗生剤を使用した事例では、病原性細菌は減少したが、常在細菌も減少した。  対象者3名とも細菌数の減少量は異なるが、観察上唾液は増加し口腔内湿潤が見られたことから口腔内環境の改善が図れたと考えられる。 <まとめ>唾液腺刺激を加えた口腔ケアは、唾液分泌量が増加した。 <引用文献>1)藤沢市歯科会ホームページ
Bibliography:1G108
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.119.0