コロナ禍の園長の意識から見た都心部の保育施設の課題:換気を中心としたヒアリング調査の考察

背景・目的 都心部の保育施設では、十分な室内面積や換気量の確保が難しい場合があり、子どもや保育者の様々な感染リスクが懸念される。本研究では、コロナ禍前後の感染症対策に対する保育者の意識と保育施設が立地する環境特性に着目し、保育施設が抱える課題の整理を目的とする。方法 筆者らの実測結果より、保育室のCO2濃度や温湿度に差がみられ、換気をはじめとする感染症対策の意識に違いがあると予想された横浜市の5施設を調査対象とした。各施設の園長を対象に、新型コロナウイルスに対する感染症対策やコロナ禍前後での意識変化、コロナ対策での困りごと等に関するヒアリング調査を実施した。結果 いずれの保育施設も外部からの交...

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Published in日本健康開発雑誌 Vol. 46; pp. 45 - 53
Main Authors 松橋, 圭子, 田中, 稲子, 種市, 慎也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般財団法人 日本健康開発財団 11.06.2025
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ISSN2432-602X
2434-8481
DOI10.32279/jjhr.202546G06

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Summary:背景・目的 都心部の保育施設では、十分な室内面積や換気量の確保が難しい場合があり、子どもや保育者の様々な感染リスクが懸念される。本研究では、コロナ禍前後の感染症対策に対する保育者の意識と保育施設が立地する環境特性に着目し、保育施設が抱える課題の整理を目的とする。方法 筆者らの実測結果より、保育室のCO2濃度や温湿度に差がみられ、換気をはじめとする感染症対策の意識に違いがあると予想された横浜市の5施設を調査対象とした。各施設の園長を対象に、新型コロナウイルスに対する感染症対策やコロナ禍前後での意識変化、コロナ対策での困りごと等に関するヒアリング調査を実施した。結果 いずれの保育施設も外部からの交通騒音や保育室からの音漏れを気にする必要のない立地環境であったが、積極的に窓開け換気を実施していたのは3施設であった。開閉可能な窓が限られていることから、自由に窓開け換気が行えない施設も存在した。しかし、どの施設においてもコロナ禍を経たことで換気意識が高まるとともに、子どもや保育者自身の健康意識、さらには保育者同士の連携意識の向上といった意識変化が確認された。考察 立地環境や施設特性に関わらず、保育施設では換気方法に関する多くの疑問が生じていた。施設を管理する立場として、空気環境の管理に関する知見や情報を求める切実な姿も窺えたことから、保育者にも理解しやすい情報発信の必要性が明らかとなった。
ISSN:2432-602X
2434-8481
DOI:10.32279/jjhr.202546G06