急性冠症候群における頚動脈超音波像の特徴

<背景・目的>多くの急性冠症候群(ACS)は予兆に発症する。しかし、ACS発症を予測することは未だ困難である。一方、頚動脈と冠動脈における動脈硬化には密接な関係があることが知られている。近年、頚動脈エコー法は動脈硬化の評価に広く行われており、本法により冠動脈疾患の有無の推定や、将来的な心血管疾患イベントの発症に関する報告が多くなされている。本研究は、ACS症例における頚動脈エコー像の特徴について検討することである。 <方法>対象は、ACS79症例(男性64例,平均年齢65±11歳)。コントロールは心血管疾患の既往のない男性が40歳、女性が55歳以上の167名(男性102...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 55; p. 301
Main Authors 篠原, 進, 遠山, 卓明, 瀬尾, 由広, 有川, 良二, 猪瀬, 由美子, 野口, 明子, 内田, 清子, 前田, 裕史, 田村, 綾子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2006
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.55.0.301.0

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Summary:<背景・目的>多くの急性冠症候群(ACS)は予兆に発症する。しかし、ACS発症を予測することは未だ困難である。一方、頚動脈と冠動脈における動脈硬化には密接な関係があることが知られている。近年、頚動脈エコー法は動脈硬化の評価に広く行われており、本法により冠動脈疾患の有無の推定や、将来的な心血管疾患イベントの発症に関する報告が多くなされている。本研究は、ACS症例における頚動脈エコー像の特徴について検討することである。 <方法>対象は、ACS79症例(男性64例,平均年齢65±11歳)。コントロールは心血管疾患の既往のない男性が40歳、女性が55歳以上の167名(男性102例,平均年齢56±7歳)である。頚動脈エコー法は、両側総頚動脈および内頚動脈の評価を行った。頚動脈球部より1cm近位部の総頚動脈において、内膜中膜複合体厚(IMT)、内腔径、および外膜間距離を外径とし、計測した。また、総頚動脈を3分画に分け、各分画で最も厚いプラーク厚の総計を、プラークスコアとして計測した。プラーク性状は、低輝度プラーク、高輝度プラーク、そして潰瘍性病変に分類し、低輝度プラークおよび潰瘍性病変を不安定プラークと定義した。 <結果>冠動脈危険因子の比較では、ACSで有意にHDLコレステロールが低値(50±13VS.63±18mg/dl,p<0.001),HbA1Cが高値(6.3±3.3VS.5.4±0.8%,p<0.001)であった。頚動脈エコーでは、IMTおよびプラークスコアが有意に大であった(IMT:0.80±0.14VS.0.69±0.15mm,p<0.001,プラークスコア:6.5±4.0VS.2.2±2.0,p<0.001)。また、頚動脈不安定プラークが有意にACSに多く認められた(26.5VS.4.0%,p<0.001)。プラークスコアおよび頚動脈不安定プラークの存在は、年齢、冠動脈危険因子で補正後も有意なACSの独立規定因子であった。(プラークスコア:OR1.46,p<0.001,不安定プラーク:OR3.68,p=0.03)。 <結論>頚動脈エコーにより、プラーク総量の推定と不安定プラークの存在を評価することで、ACS発症のハイリスク群を予測できる可能性が示唆された。
Bibliography:2F22
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.55.0.301.0