入院児に対する食育の取り組み

【はじめに】近年、わが国では食生活の変化や生活様式の変化に伴い、小児生活習慣病とよばれる症状を有する子どもが増加傾向にある。この問題を解決するため、食を通じた子どもたちの健全育成、すなわち「食育」の必要性が言われている。今回我々は、入院児に対し、料理を作り提供する医療従事者の立場から食育活動に取り組んだ。 【対象と方法】対象は、当院こども医療センターに入院中の1~5歳の幼児食を喫食する小児とその保護者。2010年2月より毎週火曜日に「お子様ランチ」という新メニューを提供し、その中で食育に関する取り組みを開始した。この食育の取り組みを評価するため、保護者に対し毎週1回アンケート調査(2010年4...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 59; p. 150
Main Authors 山田, 慎悟, 西村, 直子, 重村, 隼人, 柳田, 勝康, 岩田, 弘幸, 中村, 崇仁, 朱宮, 哲明, 尾崎, 隆男, 伊藤, 美香利, 深見, 沙織
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2010
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.59.0.150.0

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Summary:【はじめに】近年、わが国では食生活の変化や生活様式の変化に伴い、小児生活習慣病とよばれる症状を有する子どもが増加傾向にある。この問題を解決するため、食を通じた子どもたちの健全育成、すなわち「食育」の必要性が言われている。今回我々は、入院児に対し、料理を作り提供する医療従事者の立場から食育活動に取り組んだ。 【対象と方法】対象は、当院こども医療センターに入院中の1~5歳の幼児食を喫食する小児とその保護者。2010年2月より毎週火曜日に「お子様ランチ」という新メニューを提供し、その中で食育に関する取り組みを開始した。この食育の取り組みを評価するため、保護者に対し毎週1回アンケート調査(2010年4月~)を行った。尚、本取り組みは当院治験臨床研究審査委員会の承認を得ている。 【結果と考察】「お子様ランチ」を栄養バランスの良い、見た目も楽しい、嫌いな食材も食べられるように工夫し、節分や雛祭り等の季節行事にも合わせたメニューとした。保護者には、献立に使用した食品の栄養の話、食育の意義、レシピの紹介等を記載したパンフレットを配布した。入院児には、遊んで楽しめるぬり絵をトレイに添えた。  これまでに4回行ったアンケート調査の集計結果は、「お子様ランチ」の献立内容はよい64.9%(48/74)、盛付けはよい81.1%(60/74)、普段の病院食よりも子どもの反応はよい48.6%(36/74)、苦手な食べ物が食べられた18.9%(14/74)、ぬり絵で遊んだ+これから遊ぶ68.9%(51/74)、食育パンフレットは役立つ74.3%(55/74)、食育に興味はとてもある+少しある94.5%(70/74)であった。保護者からは「量が多かった」、「小さい子どもにはもう少し小さく切ってあると食べやすいと思う」等の意見もあった。  病院給食での「お子様ランチ」は、入院児に対して楽しい食事の提供ができ、保護者には食育について考える機会となった。今後もこの取り組みを継続し、子どもたちのための食育活動に生かしていきたい。
Bibliography:P1-C2-6
ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.59.0.150.0