心臓CineMRIが有用であった、心嚢液貯留にて発症した悪性リンパ腫の1例

【はじめに】:今回我々は、心臓CineMRIが有用であった、心嚢液貯留を契機とした悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する。 【症例】:72歳 女性。 【主訴】:胸部不快感。 【既往歴】:特記事項無し。 【経過】:2010年2月より、労作時の息切れ、嘔気が続いたため、2010年4月5日当院内科受診。心電図、胸部・腹部X線撮影、胸部CT、心エコーが施行された。胸部X線撮影では両側胸水、心拡大が、胸部単純CTにては、心嚢液、前縦隔から心膜腔内にかけて、腫瘍が認められたため、同日入院となった。血液検査にてWBC10320/mm3、CRP2.53mg/dlと高値であった。翌日には、胸部単純MRI、心臓...

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Published inNihon Nouson Igakukai Gakujyutu Soukai Syourokusyu Vol. 60; p. 167
Main Authors 土屋, 雅子, 野坂, 博行, 今井, 信輔, 渡邉, 常夫, 松野, 俊一, 平林, 紀男, 藤本, 正夫, 加藤, 敏夫, 亀井, 靖, 橋本, 智史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 2011
THE JAPANESE ASSOCIATION OF RURAL MEDICINE
Subjects
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ISSN1880-1749
1880-1730
DOI10.14879/nnigss.60.0.167.0

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Summary:【はじめに】:今回我々は、心臓CineMRIが有用であった、心嚢液貯留を契機とした悪性リンパ腫の1例を経験したので報告する。 【症例】:72歳 女性。 【主訴】:胸部不快感。 【既往歴】:特記事項無し。 【経過】:2010年2月より、労作時の息切れ、嘔気が続いたため、2010年4月5日当院内科受診。心電図、胸部・腹部X線撮影、胸部CT、心エコーが施行された。胸部X線撮影では両側胸水、心拡大が、胸部単純CTにては、心嚢液、前縦隔から心膜腔内にかけて、腫瘍が認められたため、同日入院となった。血液検査にてWBC10320/mm3、CRP2.53mg/dlと高値であった。翌日には、胸部単純MRI、心臓CineMRIが施行され心膜腔に多量の心嚢液の貯留と心膜腔内の腫瘍が認められた。4月8日多量の心嚢液貯留による心臓への圧迫の軽減と細胞診目的のため、心膜腔穿刺が施行された。心嚢液細胞診では、異型は弱いが比較的明瞭な核小体を有する小型~中型リンパ球の増生を認め、悪性リンパ腫が疑われた。免疫染色の結果は、CD3(約70~80%)CD79α(約20~30%)であった。4月16日、治療のため転院となった。 【結語】:今回行なった心臓CineMRIは心電同期TureSSFP法である。この方法は、血液を白く、壁を黒く描出するため、血液と心筋のコントラストが優れている撮像方法である。スライスは、心臓長軸に垂直方向で僧帽弁から、心尖部までの左室短軸Cineと左室流出路を含む最も心基部寄り左室軸上で、左室流出路と後側壁を通る二腔長軸Cineを用いた。心膜腔内の腫瘍の侵潤範囲と多量の心嚢液貯留下での心筋運動が明瞭となり、本症例において心臓CineMRIが有用であったと考える。
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ISSN:1880-1749
1880-1730
DOI:10.14879/nnigss.60.0.167.0